GARNiDELiA×土岐隼一 『大正オトメ御伽話』特別対談 両者に聞く、いつの時代も変わらない幸福の在り方

GARNiDELiA×土岐隼一 対談

 10月9日よりテレビ東京でオンエア中のアニメ『大正オトメ御伽話』。桐丘さなの漫画『大正処女御伽話』を原作とする同作は、大正時代を舞台に引き籠もりのペシミスト 珠彦と、彼の元に嫁いできた少女 夕月の恋愛模様や周囲の人々との人間ドラマが描かれていく。

 同アニメのOP曲とED曲をそれぞれ担当するのが、男女二人組ユニットのGARNiDELiA「オトメの心得」と、白鳥策役で声優としても参加する土岐隼一「真心に奏」だ。『大正オトメ御伽話』に惹き込まれたという両者が、どのようにそれぞれの曲と向き合ったのか。3人の対談からアニメの魅力や楽曲に対する思いを紐解いていきたい。(編集部)

観ている方たちが登場人物を応援したくなる作品

MARiA、土岐隼一、toku

ーー皆さん、お会いするのは今日が初めてではないんですよね?

MARiA:はい、以前撮影でご一緒になって。

土岐隼一(以下、土岐):『大正オトメ御伽話』関連の取材で着物を着て撮影したとき、そこで初めてご挨拶をしました。僕はもともとアニメが好きで、ガルニデ(GARNiDELiA)さんの楽曲もめちゃめちゃ聴いていたので、「ああ、本物だ!」って(笑)。

MARiA:うれしい。そういうお話、現場でもちょっとしましたね。私は声の印象がすごく爽やかな感じで、おしゃべりがとても楽しい方だなと思いました。

ーーこの『大正オトメ御伽話』、僕もアニメを拝見しましたが、すごく面白かったです。キュンキュンして、途中で泣いてしまいましたし。

MARiA:そう、泣けるんですよね。

ーー夕月と珠彦の恋愛模様を軸にした人間ドラマが描かれるこの作品、皆さんはどんなところに魅力を感じましたか?

土岐:おっしゃるとおり純愛劇なんですけど、舞台が大正時代じゃないですか。だからこそ、現代ではありえないようないざこざや難しい背景もたくさんあって、しかも2人は風当たりが強い中を生きていく。人間すべてが敵だと思う懐疑的な生き方をしてきた珠彦くんは最初、夕月ちゃんのことを全然好きじゃないんだけど、少しずつ心を開いていって、ちょっとありえない状況の中で一生懸命幸せを掴んでいくという、観ている方たちが登場人物を応援したくなる作品だなと思いました。

MARiA:私はまず原作を全部読ませていただいたんですけど、作詞をさせていただく観点で夕月ちゃんのひたむきで諦めない懸命な気持ちを描きたいなと思って。夕月ちゃんの立場に立って読ませていただくことが多かったんですけど、珠彦さんは最初から冷たくて距離を取る男性なのに、そこにめげずに愛する気持ちでまっすぐに尽くしていく。その行動も言葉も回りくどいものではなくて、ただピュアな愛情で珠彦さんの心を溶かして、2人の気持ちがどんどん通じ合っていき、最後には珠彦さんの気持ちが盛り上がり、逆転して珠彦さんから愛を伝えにいく、その愛情のやりとりの動きが見える作品だなと思いました。

toku:たった100年前にこんなに考え方が変わっている部分、変わっていない部分があり、それを踏まえた上で観ると「この頃だったからこう考えたのかもしれない。いや、今でもこう考えられるかもしれない」とか、自分の中で答え合わせができてすごく面白かったです。

ーーこれを今の若い世代が読んだときに、この不便さが当たり前だった時代をどう感じるのかが気になりました。

土岐:男性女性関係なく、やっぱり人間って誰しも「自分なんて」みたいにネガティブな部分があるじゃないですか。その最たるものが珠彦くんだと思うんです。家族にすら嫌われて、自分に自信をなくしてしまう。でも、そこを夕月ちゃんが一生懸命こじ開けようとする姿に、男女関係なく可愛いと感じるし、憧れるんじゃないかな。しかも、彼らだけじゃなくて魅力的なキャラクターがたくさん登場する。正直に相手に思いをぶつけるキャラもいれば、人間関係をうまく作っていくキャラクターもいて、「こういう友達がいたらいいな」とか「こういう人間になりたいな、もっと素直になりたいな」という部分がいろんなところに散りばめられているんですよね。そのキャラたちが全員大正という今よりも生きづらい世界に生きているからこそ、できないことがたくさんあって、それをみんなが応援したくなる。観ていて共感できて、心が温かくなる要素がたくさんあるから、実は世代を問わず刺さるものになっているんじゃないかと感じています。

ーー最初は悪いキャラクターも、あの2人がどんどん自分たちのほうに引き込んでいく。パワーも感じますよね。

MARiA:しかも、悪くなってしまう背景が必ずあって、その背景も劇中で描いてくれているじゃないですか。環境だったり何かしらの理由があって、したくないことをしちゃう人がいる。でも、そんな人たちにもわずかの良心が絶対にあって、夕月ちゃんや珠彦くんの温かさや優しさに触れて「自分もこうだったな」と思い出して優しくなれたりする。それがすごく人間ドラマだなと思うし、そこまで描かれているのがグッとくるポイントだと思います。

ーーちなみに皆さん、普段からこういう恋愛漫画はよく読まれますか?

MARiA:『花とゆめ』とか結構好きなので、読みますね。

土岐:世代的にはどういった作品ですか?

MARiA:『暁のヨナ』とかですかね。

土岐:ああ! 僕はちょい前の『彼氏彼女の事情』とか『花ざかりの君たちへ』とかよく読んでました。姉がいたので、『きんぎょ注意報!』から『天使禁猟区』までいろいろ読みましたね。

MARiA:懐かしい! 『天使禁猟区』は超好きでした!

土岐:『闇の末裔』とか知ってます?

MARiA:読んでました!

土岐:僕はどんな作品でも読むんですけど、特に好きなのがハートフルな作品で、もともと原作漫画の『大正処女御伽話』も読んでいたので、こんな素敵な作品に携われて本当にうれしくて。

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