TK from 凛として時雨、10年間が濃縮された現在地 起伏に富んだ演奏で魅せた『egomaniac feedback tour 2021』ファイナル
「最後の曲です」と告げられた「will-ill」は、TVアニメ『コードギアス 反逆のルルーシュ』(TBS系)EDテーマ曲として書き下ろされた最新シングル曲。激しく緩急をつけながらパワフルに進んでいく曲は、ライブ本編ラストを美しく盛り上げた。
アンコールに応えて再登場したTKは「最終日なので新曲をもう1回やります」とオーディエンスを驚かせた。「ギターが鳴り止まない病気になってしまったので(笑)」とも言っていたので、何かトラブルがあって納得のいかない演奏になっていたのだろうかとも想像するが、一段と集中力を高めスケールアップした演奏は圧巻だった。本来ならやり直しの効かないライブで、あえて再度の演奏で完成を目指すTKの志の強さとオーディエンスへの正直さが伝わってきた。そんなTKの思いに動かされたように、オーディエンスは体を揺らし腕を上げて演奏を楽しんでいた。
アンコールだが新曲が続く。録音では阿部芙蓉美が参加した『egomaniac feedback』収録曲「Super bloom」で、ライトに照らされたミラーボールが広い会場に星屑のような光を溢れさせる中、ちゃんMARIのコーラスとTKの声が美しく呼応した。イントロのリフをチェロが奏でた「P.S. RED I」はTKらしいアッパーなパワーが炸裂し痛快なエンディングとなった。しかし拍手は鳴り止まず、再度のアンコールに応えてTKたちはステージに戻って来た。
「10年間ずっとこんな感じですが、来年は時雨が結成20年なんです。10年前、突然こういったソロプロジェクトが始まることになりましたが、こんな景色が見れるなんて考えてもみなかったですし、先が見えないものに飛び込まないタイプで……ベルリンでは池に飛び込みましたけど。飛び込んだ結果、大事な何かが失われたような気持ちで不安にかられる時もありますけど、飛び込まなきゃ見えないこともあるんだな。こうして皆さんが聴きに来てくれていることが、とても嬉しいです。ありがとうございます。これからも僕は音楽を続けていくと思います。聴かなくなることもあるかもしれないけど、戻って来てくれたらいつでもステージで待ってます。こうやってステージで音を出せるのは奇跡的なことなんだなと今日は胸に刻んでいきます」
最後を飾ったのは、TKのソロアーティストとしての第一歩である「film A moment」。タイトなギターと変幻自在なボーカルでスリリングなテンションを生むこの曲を今のスタイルで奏でることで、ソロアーティストとして充実した時間を重ねてきた10年をリアルに感じさせ、この日のライブは幕を閉じた。
■ツアー情報
『凛として時雨 DEAD IS ALIVE TOUR 2022』
5月14日(土) 宮城県・仙台PIT
5月22日(日) 神奈川県・KT Zepp Yokohama
5月29日(日) 大阪府・Zepp Osaka Bayside
6月5日(日) 愛知県・Zepp Nagoya
6月12日(日) 東京都・Zepp Haneda
6月19日(日) 福岡県・Zepp Fukuoka
6月26日(日) 北海道・Zepp Sapporo