横浜銀蝿、ファイナルツアーへの思い 4人で叶える真の夢

横浜銀蝿、ファイナルツアーへの思い

 昨年37年ぶりにJohnnyが合流、オリジナルメンバー4人で奇跡の復活を遂げた横浜銀蝿。当初は昨年1年間の期間限定の復活だったが、新型コロナウイルスの影響による度重なるツアーの延期などによって活動期間を1年延長。しかしそんな逆境をチャンスに変え、当初の予定にはなかったニューアルバム『ぶっちぎり249』を9月8日にリリースしてファンを喜ばせた。コロナ禍を駆け抜けた横浜銀蝿40thのリアルな思いが込められたアルバム『ぶっちぎり249』について、まるで少年のように笑いながら語った4人。そしてツアーについて「この4人のメンバーでツアーをやるのが夢だったと分かった」と語った翔。活動終了まで約3カ月、ファイナルツアーに向けた気持ちを聞いた。(榑林史章)

ライブもレコーディングもアナログ的

ーー今回のアルバムに対しては、どんな思いですか?

翔:前作の『ぶっちぎりアゲイン』はまだコロナ禍前だったから、予定通り2月に発売できたんだけど……。本当は、2020年にオリンピックが開催された後に1枚最後のシングルを出して、そしてファイナルとしてホールツアーという計画だったんです。それがコロナで全ての予定が狂ってしまって。本当に散々な目に遭ったよね。それはエンタメ業界全体がそうだし、飲食業界もそうだし、医療従事者に至っては、今もまだ休みも取れず頑張ってくれている。でも、そこは逆の方向に考えようと思って、1年延期になって時間ができたから、今この状況の中における俺たちのリアルな気持ちで、最後にもう1枚アルバムを作ろうと。それでも1月に感染が再拡大したことで、スタジオに入れなくなったりして、3月の発売予定から半年遅らせて9月になったんだけど。そういう意味では、もしかすると幻になっていたかもしれない。つまり俺たちにとってもファンにとっても、これは幻のアルバムなんです。なおかつファンの子から、ライブでやってほしい曲のリクエストを募って、それをライブレコーディングしてDISC 2に収録することもできた。それを思えば、みんなに1つプレゼントができたし、俺たちもラッキーだったと思えます。

ーーこんなことを考えてはいけないのでしょうけど、もしまた事態が悪化したら、もう1年延長ということはあり得ますか?

翔:それは考えないようにしています(笑)。それに万全の感染対策を取って、エンジン全開でツアーができるように準備していますから。先のことは分からないけど、誰も分からない未来を案じて不安がっていては、いいステージはできない。それにファンの子には、Johnnyを含めた横浜銀蝿40thという姿を、最高の形で見せてあげたいじゃないですか。今は余計な邪念を捨てて、ホールツアーに向けて頑張っているという状況です。

ーー9月8日にリリースされたアルバムのタイトル『ぶっちぎり249』の数字は、皆さんの年齢を足すと249歳だと。どうしてこういうタイトルにしたのですか?

翔:Johnnyからの提案だったんだけど、4人のリアルが詰まったアルバムにしようということで。249年分の俺たち一人ひとりの人生を、全部まとめて詰め込んで、最後にみんなへ渡したかったんです。

Johnny:249年分って、すごくないですか? なかなかないですよ。あと国道の名称っぽくて、バイクに乗っている俺らっぽいし。

翔:そうそう。何て読ませるか考えた時に、国道ニーヨンロク(246)があるから、ニーヨンキュウがいいよねっていう話にもなって。

ーーアルバム『ぶっちぎり249』は、横浜銀蝿らしいかっこよさ、男らしさ、優しさ、温かさ、全てが詰まっています。シワは増えたけど心の奥底にあるものは、今でもピカピカなんだなと思いました。

翔:ありがとうございます(笑)。

ーーコロナ禍での制作はどのようなものだったのですか?

翔:当然リハーサルもそんなにたくさん入れる状況ではなかったから、各自でデモテープを作って、数少ないリハーサルで「こんな感じの曲ができたよ」と持ち寄って、少しずつ仕上げていった感じです。みんなから結構しっかりした案が出たので、楽曲、アレンジ、最後のバラードまでの流れは、Johnnyが戻って来たからこそのできあがりになったと思うので、それに関してはちょっと自信があります。

ーーDISC 2に収録の『STUDIO LIVE ALBUM 横浜銀蝿40th ぶっちぎり大投票 ~みんなで決める銀蝿ベストテン~』は、どんな状況でしたか?

翔:ライブレコーディングだから、バラバラに録って後でミックスするわけにはいかない。12月末にレコーディングする予定だったけど、1月に緊急事態宣言が発令されたことで、スタッフとJohnnyはスケジューリングなどが大変だったと思います。実際にレコーディングする時は、ワクワクしたしすごく楽しかったですよ。しっかりやりながらどこか粗さもある、俺たちらしさがDISC 2には出ていると思う。

Johnny

Johnny:基本的な録り方は、1980年代の当時と同じなんです。今はリモートとかデータを持ち寄ってできたりもするけど、基本は顔を合わせてやるというとても昭和的なレコーディングでした。顔を見てタイミングを見て、呼吸を合わせる。特にDISC2に関してはスタジオライブの一発録りだったんで、かなりアナログ感があると思います。

ーーレコードを聴いているような感じでした。

Johnny:うん。ちょっと音の話からズレちゃうけど、Zeppツアーの最終日に翔くんのギタートラブルで、急遽イントロが長くなったということがあって。同期ものを使うバンドだと対応しようがないけど、俺らはライブでも同期ものを入れないしアナログチックだから、フリーサイズでできるんです。その時「そうだよな、これがバンドだよな」ってすごく実感しました。

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