3rdアルバム『ハレンチ』インタビュー

ちゃんみな、スランプ乗り越え辿り着いた新境地 今だからこそ追求できた理想のJ-POP

名前がつけられていない感情を音楽に

ーーでは、アルバムタイトルも『ハレンチ』にしたのはなぜですか?

ちゃんみな:最初、曲の方のタイトルは「麻酔」だったんですけど、アルバムを象徴するような曲になったので、最終的に曲のタイトルをアルバムタイトルに合わせることにしました。この楽曲に合うなとも思ったので。ハレンチってマイナスな意味で使われることが多いと思うんです。でもこの言葉には「恥を恥とは思わない」みたいな強さを感じられる要素もあって、そこがちゃんみなとも共通しているし、今回のアルバムに相応しい言葉だと思いました。世界で一番この言葉が似合うのは私なんじゃないかなって(笑)。

ーーJ-POPに寄り添ったということもあって、これまでの作品以上に、日本語の歌詞にこだわっている印象があります。改めて日本語と向き合ったところもありますか。

ちゃんみな:向き合いました。改めて日本語の面白さを感じましたね。これまでの作詞においても、自分の感情がすごく複雑で、それを表現するための語彙力がないと思っていたんです。その力をつけるために、本を読んだり、気になった言葉は辞書で調べるように意識していたのですが、そんな日々の努力の成果を感じますね。詩的なセンスというよりも、自分の感情を具体的に表現できるようになりました。

ーー複雑な感情というと、「太陽」は正/負の感情や視点が入り乱れて表現されています。〈何も言えない私を憎んだ それしかできなかった〉と内省しながら、Bメロからサビにかけては〈君はまさにまさに 太陽だ 雨だ 大地だ 風だ〉と一気に解放的な展開になります。

ちゃんみな:壮大な光景から急にパーソナルな視点になったりするんですけど、それが人間らしいし面白いなと個人的には思っています。人間の感情には一応名前が付けられているものもあるけど、名前がつけられていない感情もたくさんあって。それを吸収したり、学んだりすることがすごく楽しい。私の場合は、その感情に音楽として名前をつけることもできます。これは「ハレンチ」の感情、「太陽」の感情、みたいに。ずっとそうやって私は音楽作りを楽しんできたし、聴いている方もそんな名前のない感情に共感してくれるのかなって。

ちゃんみな – Angel (Official Music Video)

ーー人によっては、その複雑な感情を調和させる方もいると思うんです。けど、ちゃんみなさんの場合は、複雑な感情をそのままストレートに出している。

ちゃんみな:そういう意味では、「Angel」も感情が入り乱れている曲ですね。責めたり、優しくしたり、言っていることも行ったり来たりしている。色んな感情が表出していて。

ーーちゃんみなさんの音楽はどの曲にも二面性、三面性があって、そこが音楽の楽しさにもつながっていると思います。「Angel」や「太陽」のように感情をそのまま曲にするのはなぜですか?

ちゃんみな:日常生活だと、その多面性は気まずいですね(笑)。でも、そこは性格かもしれないですね。曲だけを聴くと、一発でヒステリックな奴だと思われるんですよ。特に今回のアルバムは若い女の子っぽいですよね。今を生きている感じがすごく出ているなと。音楽の場は無法地帯だと思っていて。音楽だから自分の変な部分を出しても許されると思ってるところはありますね(笑)。

解決できない悩みを表現した「想像力」

ーー「想像力」は、ちゃんみなさんの非常にパーソナルな部分や人生観が出ている曲です。ご自身の名前がメタ的に出てくるほか、〈でも 人を憎む悔しさや人を愛す愚かさと 君を愛す静けさは誰かにわかってほしかった〉というのは、ちゃんみなさんのアーティスト活動をする上での願いにも感じます。

ちゃんみな:そうですね、昔から人と違うものが見えている自覚があって、人に話すと「カッコイイ」「天才」とか褒め言葉のように言ってもらえることもあるんですけど、自分にとっては解決できない悩みであり、日常のストレスでもあるんです。そんな気持ちを音楽にしたのが「想像力」。こういう楽曲も1stや2ndではやりたくてもできなかったことで、やっとできたなという感慨があります。私がずっと持ち続けている悩みを歌詞にすると、どうしてもトゥーマッチ感があるなと思っていて、どんなコードやメロディをつけたらいいのかが全然わからなかったんです。今だからできたことだなと。

ーーストレスに感じていることを音楽として表現することで、悩みが違うものに変わるような感覚はありますか?

ちゃんみな:ありますね。アーティストじゃなかったら、すごく苦しかったんじゃないかな。今はお仕事として音楽ができているし、自分の居場所もあるから面白い話で済んでいると思う。表現者でよかったです。

ーー「想像力」で歌われている、夢やある種の妄想から音楽のテーマが生まれることも?

ちゃんみな:私にとっての想像力は、妄想とかそういうものとは少し違っていて。相対する人が、何を考えているのか、どういう行動をとるのかが何となく分かってしまうんです。人から受け取る感情の種類や分量が普通の人よりも多いと思っていて、だから親密な関係性になるとすごく疲れるんですけど、音楽を作る上では助かっているところもあります。

ーーなるほど。歌詞の変化やJ-POPに寄せたサウンド作りは、ボーカル表現にも影響を与えていますよね。よりエモーショナルになった印象があります。

ちゃんみな:そうですね。例えば「ハレンチ」の転調も挑戦的なもので、一回やってみてダメそうなら戻そうと思っていたんですけど、意外と良くて。あと、やっぱり「太陽」は一番歌い方を変えた曲かもしれないです。喉を使わないで、ほぼ地声のピュアなボーカルで歌うっていう合唱的なアプローチだったんですけど、すごく新鮮でした。あれは「太陽」の歌詞と曲調でないとできない歌い方だったと思います。

ーービートに関してはどうですか? J-POPとグローバルで鳴っているビート感は、時代によって接近したり、離れてりを繰り返していると思いますが。

ちゃんみな:日本と海外、どちらを見ていても面白いですよね。いずれにしても、私にハマるものとそうじゃないものがあると思うんですけど、個人的にはいつの時代でも良いと思える普遍的なものが私のフィーリングにも一番合うと思っています。サウンド感もファッションと同じで、当時画期的だったものはいつになっても手に取りたくなる。それをどう面白く取り入れるかで、リバイバルとして一歩先をいく画期性が生まれてくる。日本と海外が繋がる瞬間もそこにあると思っていて、私もそういうものを作っていきたいと思っていますね。

ーーアルバム最後の収録曲は「Never Grow Up (Acoustic Version)」ですが、その前の「花火」にはフィナーレ感というか、一区切り的なニュアンスも感じます。

ちゃんみな:この作品で一旦すべて出し切った感はあります。“花火”を“若さ”に例えていて、今の私が年齢を重ねていっても、少女だった頃の私を思い出してくれるのかな、忘れないでほしいなと思って作ったのが「花火」で。……この間、肌にシミができたことに気づいたんです。おそらく22~23歳くらいになると、ようやく自分が年齢を重ねていることを自覚するようになると思っていて。そのくらいの年齢から多くの人は結婚を意識したり、アンチエイジングの化粧品やサプリに興味を持ち出したり、色々と新しく始め出すと思うんです。私もそんな感覚を持っている一人で。私は「今日が一番若い」という言葉をすごく大事にしているんですけど、それって自覚しようとしても難しいと思うから、こうやって形に残しておきたいと思ったんです。

ーー歌詞だけ見ると、ドキッとするようなフレーズもあるんですよね。

ちゃんみな:〈火が消える事は知ってる〉〈君が裏切る事も期待している〉っていうフレーズはマイナスに聞こえるかもしないですが、その背景には「私なら大丈夫」という自信があるというか。歳を取って情熱がなくなることさえも君は裏切ってくれる、みたいなポジティブな感情を言いたかったんです。「未成年」から聴いていくと重みを感じる曲になりましたね、「花火」でひとつのピリオドを迎えるような。「未成年」が笑い声で始まって、このアルバムが「Never Grow Up (Acoustic Version)」の笑い声で終わるのも、こだわっているポイントです。

ーーここで一区切りという意味では、次にやるべき音楽もすでに決まっていますか?

ちゃんみな:もう決まっていますし、すでに動いています。なぜこのタイミングでJ-POPに寄り添った作品を作ったのか、新曲タイトルが全て日本語の理由も今後のお楽しみということで。

ーー10月15日には『THE PRINCESS PROJECT - FINAL -』として初の日本武道館公演が控えています。先日開催した『THE PRINCESS PROJECT 5』中野サンプラザホール公演は2部構成で、それぞれ異なるエンターテインメントを実現していましたね。

ちゃんみな:前回のツアーは準備がものすごく大変でした。コロナ禍でなければできなかったと思います。日本武道館は「FINAL」ということで、これまでのちゃんみなの集大成的な内容になると思います。『THE PRINCESS PROJECT』で私が見たかった景色を、そのままステージで体現するようなものにできればと。

ーー『ハレンチ』の収録曲がどのように披露されるのか、楽しみにしています。

ちゃんみな:ありがとうございます!

■リリース情報
『ハレンチ』
発売日:2021年10月13日(水)
・〔初回限定盤〕(CD+DVD)
定価:¥4,620(税込)
・〔通常盤〕(CD)
定価:¥3,300(税込)
・アルバム購入リンク
https://chanmina.lnk.to/harenchi

収録内容
【通常盤・初回限定盤共通CD】 
01.太陽
02.Angel
03.君からの贈り物
04.ハレンチ
05.ボイスメモ No. 5
06.ホワイトキック
07.ピリオド
08.Picky
09.想像力
10.東京女子
11.ディスタンス
12.Morning mood
13.^_^
14.美人
15.花火
16.Never Grow Up (Acoustic Version)

【初回限定盤付属DVD】
THE PRINCESS PROJECT 5 @ Nakano Sunplaza Hall 2021.05.25

-Day-
01. Angel
02. LIGHT IT UP
03.Very Nice To Meet You
04.Needy
05.美人
06.ダリア

-Night-
07.Rainy Friday
08.Princess
09.Never Grow Up
10.ダリア

■ライブ情報
『THE PRINCESS PROJECT – FINAL – 』
日程:2021年10月15日(金)
会場:日本武道館
金額:7,800円(税込)
開場 17:30/ 開演 18:30
チケット一般発売 9/4(土) 10:00〜
http://l-tike.com/chanmina/

■関連リンク
・ちゃんみな Official Site:https://chanmina.com/
・ちゃんみな Twitter:https://twitter.com/chanmina1014
・ちゃんみな Instagram:http://instagram.com/minachanxx/
・ちゃんみな TikTok:https://www.tiktok.com/@chanmina_official


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