櫻坂46、3rdシングル収録曲「Dead end」で強固にするアイデンティティ グループが示す勇敢な姿勢

櫻坂46『BAN』通常盤

 櫻坂46が10月13日に発売を予定している3rdシングルのカップリング曲「Dead end」が、先日放送された『櫻坂46 こちら有楽町星空放送局』(ニッポン放送)にて初オンエアされた。「Dead end」は森田ひかるのセンター曲。森田はこれまで2作連続でシングル表題曲のセンターを務めてきたため、カップリングとはいえ楽曲のテイストや歌詞にも注目が集まっていた。放送で森田は「イントロから結構リズムにノりたくなるメロディで、聴いている人もノっちゃうんじゃないかなと思いますし、ストレートな歌詞にも注目していただけたら」と、曲のリズム面と歌詞を強調。自身のブログでも「とても素敵な楽曲」と紹介していた(※1)。

 タイトルの“dead end”とは“行き止まり”や“袋小路”を意味する言葉で、物事が行き詰まった状態を指す。トラックはBPM142付近で非常に速く、軽快なリズムで進行する力強いダンスナンバーだ。ただし、そうしたスピード感がありながらも、歌詞には〈絶望の未来〉〈右も左も塞がる壁〉といった後ろ向きなフレーズが並ぶ。また、歪んだエレキギターとブラスセクションが絡み合うバンド感の強い音作りや、疾走感を演出する小気味良いパーカッションなど、サウンド面は激しくエネルギッシュ。なかでも耳に残るのが、サビ直前の“息”である。

 同グループで言えば、これまでに「BAN」での〈「時間はあんなにあったじゃないか」〉であったり、「ブルームーンキス」での〈「あ、キスしちゃった」〉といったように、セリフを要所で挟み込むことでそれが肝になっていた作品はあったが、本曲ではセリフではなく肩で息をする音が入り、歌い手が満身創痍で駆け抜けてるような必死な姿をイメージできるようになっている。

 それは、欅坂46時代に怒涛の5年間を過ごしてきた彼女たちの姿にも重なるし、心機一転で突き進んできた改名後の櫻坂46がグループのアイデンティティを模索している様子にも重なる。特にサビのメロディの高らかに駆け上がっていく飛翔感は、目標を掴めそうで掴めない、けれども「まだ諦めないぞ」という抗う強さがあり、もがき苦しみながらも前へと進んでいくような彼女たちの勇敢な姿勢が浮かび上がってくる。

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