『D.LEAGUE』特別対談 第4回

akihic☆彡×神田勘太朗『D.LEAGUE』対談 ワールドワイドなコンテンツとして進化する“音楽×ダンス”の関係性

ダンサーが気持ちよく踊れるためのジャッジとは?

ーーではシーズンを振り返って、審査について思うことなどはありますか。

akihic☆彡:今後も議論や改善の余地が残されていると思いますが、現状のルールに納得はしています。大変なのはジャンルが9チームあることですよね。だからジャンルごとの審査がいる、というのもいいのかなと。

 ファッション点もそうです。ROUND.10の時に映画『ドラムライン』を参考にして衣装を自分でデザインしたのですが、ファッションの項目が1点(0.5点刻みの2点満点中)の方もいました。そこは悩みどころですが、文句を言っていても仕方がないので、今のルールのなかで真っ当に勝負しようとメンバーには言っています。

神田:真摯に受け止めたいと思います。例えばファッションの項目も、その専門の人が採点するというのはアリですね。でもファッション畑の人でも観点が全く違うという問題もある。結局それも十人十色ですから。今後ファッション系の審査員が増えてくると思いますが、それでも結果はそこまで変わらないような気がします。

 競技になればなるほど曖昧な要素は排除していきますが「2分15秒のなかでこの技をやってください」とか「回転数が点数になります」ということはダンサーは求めないですし、やはりアートやカルチャー視点から見ても曖昧な部分は重要。なのでリーグとしては毎年みんなが気持ちよく踊れるためのジャッジを探っていこうと考えています。そう考えると「D.LEAGUE」の審査が市民権を得ることができたら、他のアート競技に応用できる気がします。2分で描いた絵を競うこともできるかもしれません。

akihic☆彡:オリンピックとは違いますからね。ジャッジの方々をリスペクトして、その日のコンディションなども含めて、たまたま結果がそうなったら受け入れるしかないなと。「ROUND.2でやったものを今やったら勝てるかもしれないよ」とみんなに言ったこともあります(笑)。タイミングで全然結果が違うかもしれない。だから来期は過去の演目をブラッシュアップしたものを披露してもいいのかなと。

神田:あとは次の12戦のジャッジが誰なのか、先に予告できる体制を整えようとは考えていますよ。

akihic☆彡:そうすると「この審査員はこういう傾向だから、あの作品で行こう」と戦略を立てやすいですね。

神田:そういったことで公平性を保つことは必要かなと。

ーーそれから前回のBOBBYさん(SEGA SAMMY LUX)との対談で「ディレクターをシャッフルしたエキシビションマッチをやったら面白いのではないか」という話がありました。akihic☆彡さんはどう思われますか。

akihic☆彡:KOSÉ 8ROCKSとCyberAgent Legit、avex ROYALBRATSはディレクションしてみたいですね。優勝ネタを作れる気がします(笑)。特にKOSÉはBボーイとしてすごいスキルを持っている人たちなので、そこに自分の感性やファッション、構成、音楽の感覚で監督できたらと。Cyberも自信がありますね。「この子達をこう動かしたらこうなって、こうなるだろうな」と、毎回イメージしながら見ています。それも自分のディレクターとして成長に繋がるんですよ。

ーーなるほど。

akihic☆彡:これから先、プロ野球みたいにドラフトがあったりしたら、誰かを引き抜いてチームのこのポジションに入れる、という選択肢もあると思うんです。そういうイメージをするのが楽しいですね。将来は長嶋(茂雄)監督みたいなポジションになれたら嬉しいです。今は自分がプレイヤーというよりも、若い子たちを輝かせることに特化したいので、ディレクターという立場が自分に合っていると思ってます。自分が踊るのはどこでもできますし、いつでもSNSに出せます。そこは自分のなかで揺るがない気持ちとして最初からあって。今はみんなが出場しているのを観ているのが幸せなんですよね。

神田:akihic☆彡は僕が上京してきた時から人気でしたからね。黄色い声援を受けすぎて飽きちゃったんじゃないの(笑)?

akihic☆彡:そうじゃないですよ(笑)。

神田:40代や50代でも輝きたいと思うダンサーは多いですが、akihic☆彡の場合は、今回のディレクター業がきっかけで変わったんですね。僕がイベントプロデュースに快感を覚えたのと似ているかもしれません。自分が踊る場所は別にありますから。

akihic☆彡:もともと育てるのが好きなんですよ。僕がレッスンしているスタジオに通ってくれている子たちは全員「D.LEAGUE」を観ていて、大半が「RAPTURESに入りたい!」と言っているんです(笑)。自分のスタイルを継承した子たちが10年後、20年後に輝ける場所を作れるなら本望ですね。

ーーそれも含め、今後の広がりに期待ですね。

akihic☆彡:セプテーニ・ホールディングスの社長・佐藤光紀さんも「Mellow」のパフォーマンスを観て感激してくださったそうで、そこから初めて一緒に食事させていただきました。同席した方が「あんなに楽しそうな顔を見たことない」というくらいコミュニケーションをとってくださって。もともと音楽をやられていた方なので、いろいろ理解してくださるんです。

神田:各チームのオーナーが本気になったら本当に経済が動くと思いますよ。だから本気になっていただく1年目でもありましたね。

akihic☆彡:地上波とか多くの目が集まるところに「D.LEAGUE」が出て行ったら、もっと盛り上がるはずです。

神田:みんなが本気になってきているので時間の問題ですよ。コロナ禍でも開催できたことで、いろいろなことが分かりましたから、2年目で爆発するための種を蒔けたんじゃないかなと思っています。

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