大森元貴、『Midnight』で遂げた大胆で鮮やかな変貌 自己探求の果てに獲得した“新たなオリジナリティ”

大森元貴、大胆で鮮やかな変貌

 今年の2月にリリースされた初のDigital EP『French』以来となる、大森元貴の2nd Digital EP『Midnight』が8月6日にリリースされた。彼がフロントマンを務めるバンド、Mrs. GREEN APPLEの“フェーズ1”完結と活動休止からすでに1年以上が経過しているが、バンドの存在感は今も全く衰える気配がなく、今回の楽曲についても高い注目度を持って迎えられている。

 前作の表題曲「French」では緻密に構築されたレイヤーが織りなすガラス細工のような音像の中で、そっと感情を零すようなウィスパーボイスから空間を突き破るようなホイッスルボイスまで、彼のボーカリストとしてのスキルを限界まで引き出しながら、自らの運命の行く末に想いを馳せるという壮絶な世界観を提示し、バンドのファンのみならずあらゆる音楽リスナーに衝撃を与えた。同楽曲では完全にバンドサウンドから逸脱した音像を創り上げており、これがソロプロジェクトであることの必然性を証明していたと言えるだろう。

Motoki Ohmori – ‘French’ Official MV

 では、続く作品となる『Midnight』も、やはり内省的かつ一人であることを強く想起させる作品となっているのだろうか。その予想は表題曲「Midnight」のMVを見れば、大きく裏切られることだろう。極彩色の世界、鮮やかな青髪とメイク、豪華な衣装、そして自らを極限まで美しく彩りながらダンサーと共に踊る一糸乱れぬパフォーマンス。前作での黒髪と、白を基調としたシンプルな衣装を身に纏い、コンテンポラリーダンスを踊る姿からは想像もできないほど大胆な変化が起きている。

 そのビジュアルが象徴するように、サウンドの方向性においても見事に変貌を遂げている。なんと近年のハウスミュージックからの影響を色濃く感じさせる、明確に“踊る”、そして“魅せる”ことを目的としたバキバキのダンスミュージックに仕上がっているのだ。それも単なる模倣ではない。楽曲の中心となるフレーズをシンセサイザーではなく、キレのある鮮やかなギターの音色で構築し、自らのコーラスや歌声を加工した独特な音色によって音像を拡張していくという、あくまで自分自身から出てくる表現を核とした上で創り上げられているのだ。本作も正しく「大森元貴」というアーティストの創造力が遺憾なく発揮された作品なのである。

 本楽曲の方向性や大胆なビジュアルからは、まさに大森が以前楽曲を書き下ろしたTOMORROW X TOGETHERのようなK-POPアーティストからの影響を強く感じることができる(今回の「Midnight」よりも提供した「Force」の方が、バンドの影響を感じさせる仕上がりとなっているのがまた興味深い)。そのような現代におけるポップミュージックの潮流を踏まえた上で、自らの表現として落とし込んだ1つの結果が「Midnight」だと捉えられるのではないだろうか。

Motoki Ohmori – ‘Midnight’ Official MV

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