宇多田ヒカルの歌声と似ているeillとは? 月9ドラマ『ナイト・ドクター』の楽曲から考察してみた

eill「hikari」

 eillに対して「宇多田ヒカルと歌声が似ている」と、SNSを中心に評価するリスナーの数が増えている。2021年4月にメジャーデビューしてから特に人気と注目度が上がっているシンガーソングライターである彼女。フジテレビで放送されている月9ドラマ『ナイト・ドクター』のオリジナルナンバーに新曲「hikari」が抜擢されたことで、知名度が急上昇している。どうやらドラマ放送をきっかけにeillを知った人から、そのような感想が多く出ているようだ。

 新進気鋭のアーティストがデビューし注目された時、ベテランミュージシャンや人気アーティストと比較されることは少なくない。例えば曲調が似ている、ルックスが似ているなど。eillも例に漏れず比較されているが、過去に他のアーティストと比較された新人とは反応が違う。比較をきっかけに批判されることもある中、好意的な意見が目立つのだ。

 実際に「hikari」での歌唱方法は宇多田ヒカルのような要素を感じられる部分がある。例えばAメロやBメロでのウィスパーボイス。美しく優しい声に息が含まれた歌唱は、宇多田ヒカル「First Love」のAメロの歌声と通ずるものがある。またBメロではリズムに当てはめるように言葉を区切っている。eillは語尾を必要以上に伸ばさないのだ。伸ばす場合は母音を強調しつつ、しゃくりあげるように歌う。メロディを聴かせる歌というよりも、リズムの心地よさを歌で表現する歌唱である。これも宇多田ヒカルの歌唱に見られる特徴と一致している。

宇多田ヒカル - First Love

 同曲のサビパートにも注目したい。裏声とミックスボイスを組み合わせた歌唱が印象的だ。それによって繊細な表現になり、聴いていて自然と歌に引き込まれる。裏声を使っても声が細くなることはない。むしろ力強い。宇多田ヒカル「Beautiful World」でもこのような歌唱をしていた。これも共通点であり似ていると言われる所以かもしれない。また「hikari」はミドルテンポのR&Bナンバーで、宇多田ヒカルが得意としていたジャンルや代表曲の特徴と重なる部分もある。楽曲の持つ性質もあいまって、似ていると感じる人が多いのかもしれない。

Utada Hikaru「Beautiful World」 Directed by Tsurumaki Kazuya
eill | hikari (Official Music Video)【フジテレビ月9ドラマ「ナイト・ドクター」オリジナルナンバー】

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