乃木坂46 高山一実は「努力・感謝・笑顔」を体現する存在 アイドル・番組MC・小説家、実直な性格で切り開いた多彩な活動
高山の卒業はグループのYouTubeチャンネル「乃木坂配信中」での生配信「乃木坂46分TV」の中で発表された。その震える口調からは緊張の色が滲み出ていたが、その分メンバーへの、ファンへの感謝が伝わる卒業発表でもあったように感じる。「乃木坂配信中」の生配信という異例の形を希望したのは、『乃木坂工事中』(テレビ東京系)にて長年お世話になったスタッフとメンバーの前で発表したかったから。いつも相手を敬い、謙虚である高山の感謝の気持ちが感じられる。「10年前の夏休みに応募して人生が変わって本当に生まれ変わってもこの人生でいたいなってくらい幸せでした」「まだ見ぬ新メンバーのみんながそういう気持ちを手にしてくれるんだろうなと思うと嬉しいです」と卒業後に5期生として乃木坂46に加入してくるメンバーに思いを馳せる姿も、グループへの感謝にほかならない。
「乃木坂46分TV」で高山の卒業を受けてコメントするメンバーから出てきたのは「笑顔を作ってくれていた」「楽しませようとしている」という言葉だった。「アメイジング」「ポジピース」といったフレーズで番組やライブを盛り上げてきた高山。この日も言葉に迷う齋藤飛鳥や「年齢が近い」という新内眞衣を絶妙な表情で笑わせていた。ステージ裏でのメンバーを我々は『乃木撮』などの断片的な一部でしか見ることができないが、きっと乃木坂46の笑顔の真ん中にはいつも高山がいたのだろうと想像する。そう確信させたのは、大園桃子の「こういう場面を見ると、乃木坂46って温かいグループなんだなって」「温かくて、みんなが優しくて素敵なグループなんだなって実感します」という言葉。過去に高山もアイドル観を聞かれ、「内側も美しいと知れたのが大きい」と大園と似た裏表のない“乃木坂46像”を話しており、その中心にいたのが高山だったのだと改めて実感した(https://ananweb.jp/news/316751/)。
最後に、高山を象徴する言葉がもう一つある。それが「大丈夫」。『真夏の全国ツアー2015』のオープニング映像で西野が紹介した、彼女がいつも支えられていた言葉。その反面、周りに気を遣いすぎる高山の性格も表していた。それは卒業発表の生配信やブログの文面にも。高山の卒業まで2カ月余り。メンバーやスタッフはもちろん、我々にできることは、乃木坂46を卒業する高山を「大丈夫」と温かく送り出してあげることだ。
■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter(@AKI_W_)