1stアルバム 『11という名の永遠の素数』インタビュー

22/7(ナナニジ)ユニット別インタビュー 初アルバムと振り返る、アニメ×リアルで開拓する唯一無二の軌跡

蛍光灯再生計画(河瀬詩×白沢かなえ×宮瀬玲奈)

白沢かなえ、宮瀬玲奈、河瀬詩

――デビューから現在までの作品が詰まった1stアルバムとなりました。

白沢かなえ(以下、白沢):22/7を途中から知ってくださった方などから、自分が知る以前のナナニジについてもっと知りたいという声もあったので、これまでの活動を知っていただけるアルバムになったと思います。新しくファンになってくださった方々も、このアルバムを手にとっていただければ、もっと好きになってくれるんじゃないかな。

――全形態共通盤にはデビュー以来の楽曲が並んでいます。あらためて、思い出すことはありますか?

宮瀬玲奈(以下、宮瀬):メンバーが11人いるなかで、最初は担当キャラクターが先に決まっていた8人だけで歌う時期がしばらくあって、その状況については言葉に表せないくらい、いろんな心情がありました。4枚目シングル『何もしてあげられない』で、11人全員で表題曲を歌えるようになったのがとても大きな変化で、すごく嬉しかったのを覚えています。個人的には、(宮瀬が演じる立川絢香が主人公の一人となった)「シャンプーの匂いがした」では責任も感じましたし、ひとつ意識が変わった曲でもあるので、思い入れを感じたりもします。

白沢:3rdシングルの表題曲「理解者」まではモーションキャプチャーを使ってのMVだったんですよね。モーションキャプチャーはバラエティ番組など、私たちの活動の中でもずっと使ってきたものなんですけど、こうやって楽曲の並びを見てみると、モーションキャプチャーでないタイプのMVになってからの期間も結構長い。いろんなかたちでどんどん進化していってるんだなと思います。

――河瀬さんにとっては斎藤ニコル役を引き継ぐ前と後、両方の作品が揃ったアルバムになっています。

河瀬詩(以下、河瀬):ちょうど私が加入する時期、メンバーと初めて会ったのがシングルでいうと『何もしてあげられない』の期間で、今聴いてもグッと来ますし、赤い衣装でパフォーマンスしている光景が浮かびます。私が入るまでの曲は半分ファン目線でも聴きつつ、当事者側でも聴きつつという不思議な感覚ですね。自分が活動していくなかでは、「風は吹いてるか?」がターニングポイントでした。それまでは自分の内情というか、自分の殻にこもった人物の曲が多かったんですけど、「風は吹いてるか?」は外に向かって発信していく曲。自分から訴えかけないとだめだよというメッセージを感じて、今までとは違う目線で物事を見られるようになった曲なので、すごくポジティブな思い出が残っています。

――完全生産限定盤Bのユニットソング盤には、皆さんのユニット「蛍光灯再生計画」の新曲「交換条件」が収録されています。具体的な風景が描かれているわけではないので、思い描くイメージもそれぞれに違うかと思います。

宮瀬:歌詞の〈そんなズルいことは大人たちがすることだよ〉っていうフレーズで、子ども心を持った主人公なんだということがわかって、もっと自分を捨ててでも愛を守っていかなきゃいけないという強い気持ちが伝わってきます。たしかに、具体的な風景ではなく心情が書かれている曲なので、人によって解釈は違うと思います。私は学生同士の2人が、学校や親の目を気にせずに2人だけの世界を守り抜いていこうとしている雰囲気を感じていました。

河瀬:一番の歌詞は「理解者」に通じるものがあるなと思っています。愛を描いた曲ではあるんですけど、それだけではなくて、君はどう動くのかと問いかけられているような曲だなと感じますね。自分と世間とを分かつものというか、ルールを守ることが果たして正解なのかみたいなことを歌っている曲でもあって。私自身もルールから逸脱する勇気が出なかったり、違うと思っても声を上げられないタイプなので響きました。

白沢:私は、主人公が子どもですごく年上の相手と恋愛しているのかなというイメージでした。相手に合わせて大人になりたい、だけど大人になることへの怖さもちょっとある。自分の成長と葛藤とを歌っているのかなと思いました。

先人がいないグループだからこそ、完成形を見つけるのは難しい

――メンバー全員による新曲「ヒヤシンス」はアルバムリリースに先行して発表され、テレビ番組での披露なども行なわれています。

河瀬:こんな構成の曲を聴いたことがなくて、最初はびっくりしました。どう表現するんだろうと少し動揺したんですけど、完成したものを聴くと、「ああ、これが正解だったんだ」って。みんな個性的な声なので、次々に言い方やニュアンスが変わっていきますし、パフォーマンス自体も見ていて面白いものになっているので、ステージで披露したらより伝わるものがあるんじゃないかなと思っています。

宮瀬:やっぱり、表現の仕方をすごく考える曲です。1stシングル「僕は存在していなかった」では〈僕は色を持たない花〉と歌っていた私たちが、このアルバムのリード曲で〈僕たちにとっては 特別な花〉と歌い、一人一人がサビの台詞で自分自身を表現している。回収されたというか、1stシングルからのつながりを感じて嬉しくなりました。この曲に教えてもらったことも多くて。〈どんな季節も永遠じゃない〉という台詞を言わせていただいているんですけど、この過ぎゆく4年間の日々も一つ一つが大切で、その時期にしかないもので、これからもそういうものが続いていくんだろうなと思いつつ、今この瞬間を大切に生きていきたいと思いました。

白沢:最初のピアノの前奏と、サビからの雰囲気の対比もこの曲ならではで、そこにみんなの台詞がそれぞれに入っている。本当に気持ちを乗せて歌うことができる曲ですし、逆にそこが成功しないと、この曲の良さも伝わらないと思います。一人ひとりの台詞が集まった曲になっているので、パフォーマンスでも毎回、全員で作り上げていることが感じられる曲です。

――ここまでの集大成となるアルバムが完成して、ここからの活動がさらに楽しみです。

宮瀬:22/7はこれまでもいろんな方面の活動をしてきました。キャラクターも演じるのも楽しいしダンスをやるのも楽しい。メンバーみんなでお昼ごはんを食べているだけでも楽しくて。そんな空間が、これからもなくならないでほしいと純粋に思います。いろんな人に曲を届けたいしパフォーマンスを見てもらいたいし、ナナニジを知ってもらいたい。そのためには課題もたくさんあると思いますし、ファンの皆さんのお力も必要なので、よければ今後も応援していただけると嬉しいです。

白沢:これまでバラエティ番組やゲーム、VTuberなども含めて、その時代に合ったコンテンツを通して皆様に22/7という存在を知っていただけました。これから先に何が流行るかはわからないですけど、22/7は時代に合わせてどんどん進化していくものでもあると思います。今までやってきたことを糧にしながら、22/7というコンテンツが新しい存在だねと皆さんに認めていただけるようになっていきたいと思います。

河瀬:デジタル声優アイドルという先人がいないグループだからこそ、完成形を見つけるのは難しいですし、今も実際手探りで進んでいて、これが正解だといえるものがきちんと見つかっているわけではないです。けれども、リアルメンバーでのライブやキャラクターとしてのバラエティ番組やアニメ、ゲームなど、いろんな入口があるグループだと思います。どの活動もおろそかにしてはいけないし、全力でみんなが取り組んでいけば、もっともっと応援してもらえるグループになれると思っています。

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