『閃光のハサウェイ』劇中歌がバイラルチャート上位に ガンダムシリーズ最新作のヒット支えた“映像とシンクロする歌声”
4位にランクインした「Möbius」は、スケール感のあるミディアムバラードだ。3人のボーカルが艶めかしく絡み、アダルトな雰囲気もあるが、メロディの抒情性にもマッチし、ミステリアスな世界を醸し出している。
2位にランクインした「TRACER」はトランシーなダンストラック。疾走感あるビートが特徴だが、間奏で低音がなくなった部分での浮遊感は、地上の重力から離れた無重力と静寂をイメージさせる。映画本編では、物語の舞台となるフィリピン・ダバオへの夜間襲撃シーンで使用されている。ガンダム公式YouTube「ガンダムチャンネル」では、両曲のMVとして演奏シーンも公開されている。
さて、「TRACER」と「Möbius」の両曲にクレジットされているBenjaminとは何者なのか。『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』の音楽は、『機動戦士ガンダムUC』『機動戦士ガンダムNT』に続き、澤野弘之が担当している。澤野は、数々のアニメ・ドラマ・映画の音楽を手掛けているが、その盟友として、作詞や歌を担当しているのがBenjaminである。元々はベンジャミン・アンダーソンという名義を使っており、『進撃の巨人』シリーズや『甲鉄城のカバネリ』シリーズに、澤野とともに参加している。ネイティブな英語発音ができること、実に情熱的ながら、ウェットにならないボーカルアプローチ、印象に残るが耳なじみのいい声質が、実写よりも圧倒的に視覚的な情報が多いアニメ作品にハマるのだろう。つまり、映像とのシンクロ率が抜群にいいのだ。そういう意味では『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』を大ヒットに導いた、立役者のひとりと呼んでいいかもしれない。
■伊藤亜希
ライター。編集。アーティストサイトの企画・制作。喜んだり、落ち込んだり、切なくなったり、お酒を飲んだりしてると、勝手に脳内BGMが流れ出す幸せな日々。旦那と小さなイタリアンバル(新中野駅から徒歩2分)始めました。
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