BTS、「Permission to Dance」で伝える“繋がっている”という希望 紫色の風船が象徴的なMVから感じたこと

『Butter』

 BTSが、7月9日にCD『Butter』を発売。同日に、新曲「Permission to Dance」のMVを公開した。“音楽の力“という言葉を耳にすることがあるが、この「Permission to Dance」のMVには、まさしくその力が宿っていることを感じられる楽曲だ。

 MVは、カフェのワンシーンからスタート。1人の女性店員がバターの添えられたホットケーキを持って歩いてくる。そしてカメラが徐々にズームアウトすると、彼女の口元にマスクが装着されていることに気づく。温かみのある色味の映像に、真っ白なマスクにハッとさせられる。そう、ここはマスクが必要な世界。現実を生きる私たちと地続きの空間にあることを改めて印象づける。

BTS (방탄소년단) 'Permission to Dance' Official MV

 彼女はそのまま窓の方へと歩み進め、そっと空を見上げる。青く澄んだ空は、やがて紫色の風船を飛ばすJUNG KOOKのもとへと繋がっていく。この紫色の風船には「希望」が込められているのだそうだ。普段は、なかなか目に見えない「希望」。それがBTSの音楽によって、誰もが気づくことのできる形として私たちの前に現れる。

 ピアノの鍵盤を弾くように動かされたJUNG KOOKの指。その先にはSUGAの奏でるピアノに合わせてRMが歌い、他のメンバーがリラックスしてリズムに乗る空間が広がる。そしてJIMINが伸ばした指先を、今度はJINが掴むようにして歌い繋ぐ。

 このMVには意図的に「繋がっていく」イメージが多用されているように見える。空から空へ。指から指へ。希望から希望へ……人と人が距離を取り、断絶を余儀なくされている今だからこそ、彼らは何度も見せ、伝えてくれる。いつだって「私たちは繋がっているのだ」という希望を。

 やがて様々な場所で、JUNG KOOKが飛ばした紫色の風船が目撃されていく。空を見上げ、指をさし、笑顔になっていく人々。J-HOPEやVが歌い、思い思いにメンバーが踊る背後には、まだまだこの紫色の風船があるのが見て取れる。何度でも、どれだけ見過ごされたとしても、これからも「希望」を届けていきたいという意志の表れのような場面。

 だが、よくよく見ると紫色の風船は、掃除をするワゴンにもくっついている。さらにコインランドリーの洗濯機の中、トラックの中にもチラ見えする。私たちが気づかないだけで、きっと日常の何気ない風景でも「希望」は存在していて、きっとBTSの音楽はそれを可視化するきっかけにすぎないのだと言わんばかりに。

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