『天才てれびくん』シリーズが歴代てれび戦士たちと作り上げてきた名曲を考察 子どもの目線で歌われる時代性や未来がテーマに
いきものがかり・水野良樹楽曲にある大切なメッセージ
1998年から2014年まで続いた音楽コーナー「ミュージックてれびくん」にも名曲が揃っている。作曲・奥田民生、作詞・サエキけんぞうの「ゴォ!」(1999年度『天才てれびくんワイド』)は〈ベロを出しても昨日を捨てよう〉と前進を促し、怒髪天が書き下ろした「英雄キッド」(2011年度『大!天才てれびくん』)も〈すすめ!この道は未来に続く〉と後ろを振り向かない。昨年度からオンエア中の『天才てれびくんhello,』エンディングテーマとしてn-buna(ヨルシカ)がプロデュースする「また明日」、「ハローハロー」でもその眼差しはしっかりと前を向いている。
こうして続いてきた楽曲のメッセージを体現するかのように、出演当時は子役だったキャストの面々も、その後、芸能界にとって欠かせない存在に。生田斗真は俳優として躍進し、ウエンツ瑛士は留学を経て再び日本の芸能界の第一線へ。前田公輝は『HiGH&LOW~THE STORY OF S.W.O.R.D~』シリーズの轟洋介役で存在感を放った。前田亜季も映画、ドラマなどにコンスタントに出演してキャリアを積み上げている。バラエティなどで活躍した大沢あかねは現在は3人の子どものママだ。小関裕太はテレビドラマ『わたしに××しなさい!』(毎日放送/2018年)での玉城ティナとのダブル主演や、連続テレビ小説『半分、青い。』出演も記憶に新しい。田原加奈子は“天てれ”卒業後、1996年から3年間、NHK Eテレ『いないいないばあっ!』で初代おねえさんに抜擢された。紆余曲折はありながら、しかし自分たちの未来を歩んでいる。
『天才てれびくん』の音楽はこれからもきっとぶれることなく、時代性や少し先の未来をテーマに作られていくだろう。そんな楽曲をてれび戦士たちがどのように表現していくのか、これからも楽しみでならない。
■田辺ユウキ
大阪を拠点に、情報誌&サイト編集者を経て2010年にライターとして独立。映画・映像評論を中心にテレビ、アイドル、書籍、スポーツなど地上から地下まで広く考察。バンタン大阪校の映像論講師も担当。Twitter:https://twitter.com/tanabe_yuuki/