EXILE THE SECOND メンバー分析【入門編】Vol.6:EXILE AKIRA

EXILE THE SECOND AKIRA、エンタテインメントと誠実に向き合う“Mr.EXILE” 次世代にも愛情注ぐ優しい兄貴

 1999年、パフォーマーのHIRO(EXILE HIRO)を中心に、MATSU(松本利夫)、ÜSA、MAKIDAI、ボーカル SASAの5名で結成されたEXILEの前身グループ、J Soul Brothers。その魂を受け継ぐダンス&ボーカルグループが、EXILEとしても活躍する派生グループEXILE THE SECONDである。メンバーは、EXILE HIROプロデュースの新生 J Soul Brothers(二代目)として、2007年から活動を続けてきたパフォーマー 橘ケンチ、黒木啓司、EXILE TETSUYA。『EXILE VOCAL BATTLE AUDITION 2006 ~ASIAN DREAM~』に参加した実力派ボーカル EXILE NESMITH、EXILE SHOKICHI。そして、長年EXILEの一員として活躍し、2016年に加入したEXILE AKIRAの6名。オリジナルメンバーが全員勇退したEXILEにおいて一番上の世代となる彼らは、役職に就いているメンバーも多く、アーティストの枠を越えて所属事務所LDHを支える存在となっている。本稿では、そんなEXILE THE SECONDのメンバーを1人ずつフィーチャー。第6回は、EXILE TRIBEのリーダーも務めるパフォーマーのEXILE AKIRAについて、グループの歴史を絡めながら紹介していく。

EXILE AKIRA

 EXILE AKIRAは、1981年8月23日生まれ。神奈川県出身で静岡県育ち。実は本名は“アキラ”ではないのだが、かつて地元の先輩に“アキラっぽい”という理由で命名され、20年以上“AKIRA”を名乗っている(※1)。サッカー王国・静岡で育ったため、小中高の10年間をサッカーに捧げ、高校もサッカー推薦で入学するほど、本気でサッカー選手を目指していたという。とはいえ、強豪校に集まった仲間は、レベルの高い選手ばかり。レギュラー入りも難しい状況だったが、寝る間も惜しんで練習に打ち込んだ。それでも、高校3年生の最後の大会ですら出場することができず、もともとは大学に進学し、サッカーを続ける予定だったそうだが、高校卒業と共にサッカーから離れることを決意。「サッカー部を卒業した直後の進路相談で先生に「進路はどうするんだ?」と聞かれたとき、唐突に「ダンサーになります」って言葉が出た」(※2)と語るように、16歳の時、HIROが所属していたZOOのMVを観たことから独学で続けていたダンスが、新たな夢として急浮上した。高校卒業後は、プロのダンサーとして活躍する日を夢見て、地元のクラブやホテルを貸し切ってパフォーマンスするようになり、18歳で上京。四畳半の部屋で暮らしながら、都内のクラブを拠点に活動をしていた2002年、知人の依頼でイベントに出演した際に、すでにEXILEとして活動していたMAKIDAI、ÜSA、MATSUにスカウトされ、芸能界入りを果たした(※3)。ちなみに、HIROはもちろん、MAKIDAI、ÜSA、MATSUもEXILE AKIRAが地元にいた頃からの憧れの存在。10代の頃は、東京で活躍する彼らのパフォーマンス姿をビデオで観ながら、ダンスを練習していたそうだ(※4)。2004年には、そんな憧れのメンバー達と、LDH初のヒップホップユニット RATHER UNIQUEとしてメジャーデビュー。前年の2003年からは、HIROにEXPG STUDIOの立ち上げスタッフを任され、東京校のインストラクターとしても働いていたため、アーティストとインストラクターを両立する過酷な日々が始まった。

 そして2006年、クラブで踊っていた頃から交流があり、2004年にEXILE主演のミュージカル『HEART OF GOLD ~STREET FUTURE OPERA BEAT POPS~』でも共演したEXILE TETSUYAと、クランプに特化したダンスチーム RAG POUNDを結成。同年6月、HIROの誘いを受けてEXILEに加入したことが、大きな転機となった。しかし、すでに人気アーティストとなっていたEXILEにこのタイミングで加入することは、相当覚悟のいること。もともとトップクラスのダンサーである先輩達が、輝き続けるために重ねている努力や、その姿を傍で見てきたからこそ実感する自分の実力不足が、現実となって襲いかかった。EXILE AKIRA自身も、「明らかにオリジナルメンバーとのあいだにレベルの差がありましたね。パフォーマンスはもちろん、人間としても。そこに追いつくには、他のメンバーが寝ているあいだに自分を磨くしかなかった」(※5)、「『EXILEになった』って胸張って言えなかった。EXILEになる重みとか苦労とかカリスマ性を知っていたから、生半可に言えなかった。ひとつのツアーを終えないとと思っていたし、武道館終わって、1発目のアリーナツアーが終わってから胸を張って『EXILEのAKIRAです』って言えました」(※6)と当時を振り返る。急激な環境の変化に最初は戸惑いもあったようだが、一ダンサーから“EXILE AKIRAになる”ため必死にパフォーマンスを磨く過程で、演技の才能が開花。2008年には『Around 40 ~注文の多いオンナたち~』(TBS系)でドラマ、『花より男子 F』で映画デビュー。EXILE THE SECONDのメンバー達がEXILEに加入した2009年には、初の主演映画『ちゃんと伝える』で、第19回日本映画批評家大賞新人賞を受賞。2010年には、アンドリュー・ラウ監督作品『レジェンド・オブ・フィスト 怒りの鉄拳』でアジア映画界デビュー……と、着実に俳優としてのキャリアを重ねていった。その結果、2014年に発売した初の単独写真集『AKIRA LA』には、数々の挑戦を経て自信を手に入れた“EXILE AKIRA”が映し出されている。

 初主演ドラマ『GTO』が放送され、EXILE AKIRAの存在がお茶の間に浸透した2012年には、現メンバー(橘ケンチ、黒木啓司、EXILE TETSUYA、EXILE NESMITH、EXILE SHOKICHI)によるEXILEの派生ユニット THE SECOND from EXILEが、シングル『THINK 'BOUT IT!』でメジャーデビュー。2016年にEXILE THE SECONDに改名すると、同年9月、「共に活動をしていくことで互いに良い化学反応を起こしグループとして個人としてさらなる覚醒・創造・進化していくヴィジョンが生まれてきました」(※7)というメッセージを添えて、EXILE AKIRAのグループ加入が発表された。その言葉通り、2018年には、EXILE AKIRAが個人で行うプロジェクト、オリジナルエンタテインメント THE FOOL PROJECTを始動。自身がこれまでに培ってきた、パフォーマー、俳優、モデル、クリエイティブ(創作)という活動を融合させ、形に捉われることなく、さまざまなエンタテインメントを提供していくというコンセプトのもと、自叙伝『THE FOOL 愚者の魂』の発売や、EXILE SHOKICHIとのコラボレーション楽曲「THE FOOL」の発表、同曲でのギター初披露など、さまざまな展開を見せている。

EXILE AKIRA & EXILE SHOKICHI / THE FOOL(Music Video)from THE FOOL MOVIE 2 THE FOOLS

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