TENDRE、歌とグルーヴで紡ぎ出した“繋がり” メジャーでのさらなる飛躍を予感させる一夜に

 6月9日、TENDREが『「PIECE」One-Man Tour 2021』の東京公演をUSEN STUDIO COASTで開催した。このツアーはEMI Recordsからのメジャーデビューシングル「PIECE」のリリースに伴うもので、本来ならこの日が東名阪ツアーのファイナルになる予定だったが、5月の大阪・名古屋公演が緊急事態宣言の発出に伴って延期となり、結果的にはツアー初日にして、メジャーデビュー後初のワンマンライブとなった。

 TENDREは「PIECE」のリリース時に、次のようなコメントを発表している。「2017年から始まったTENDREとしての道、様々な想いの欠片をこれからも繋ぎ合わせるように、変わらずみなさんと繋がっていきたい表明の曲です」。この言葉の通り、現在のTENDREは未知のウイルスによって人々の距離が心も体も離れてしまっている時代において、音楽の力でもう一度、差異を越えて人々が繋がり直すことを目指しているように思える。

 昨年発表のアルバム『LIFE LESS LONELY』は、「孤独ではない人生」を意味するタイトル通り、コロナ禍における自らの心象を綴りつつ、それを多くの人に届けようとする明確な意志が感じられた作品で、そのアルバムの一曲目であり、この日の一曲目でもあった「LIFE」では、早速オーディエンスに手拍子を求め、積極的なコミュニケーションを示してみせた。

 では、一晩のステージを通じてこの「繋がり」をどう生み出していくのか。その方法のひとつは「グルーヴ」だ。現状オーディエンスは大声を出すことができないが、グルーヴを感じてともに体を揺らすことによって、確かな「繋がり」を生み出すことはできる。そこで重要なのがサポートメンバーであり、サックス、フルート、シンセの小西遼、コーラス、シンセのAAAMYYY、ベースの高木祥大、ドラムの松浦大樹というお馴染みの面々に加え、この日はYOUR SONG IS GOODなどでも活躍するパーカッショニスト・松井泉が参加(松井は「PIECE」のレコーディングにも参加している)。

 松井はまだTENDREが本名の「河原太朗」としてベースボーカルを務めていたバンド、ampelのメンバーだった竹村郁哉が所属するYogee New Wavesのライブでもサポートを務めている。そうした「繋がり」にもグッと来るが、やはりパーカッションの導入はバンドのグルーヴをもう一段階引き上げ、序盤に披露されたダンストラック「JOKE」からして実にご機嫌。そして、ステージ上に二つのミラーボールが輝いた「SIGN」の後半では、TENDREがギターを持ってカッティングをして、さらに松井がエネルギッシュなパーカッションソロを披露し、ライブ中盤のハイライトを作り上げた。

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