BTSが日本リリース曲ベスト発売 K-POPグループの“日本語バージョン”と“日本オリジナル曲”に見る活動スタイルの変化

BTS『BTS,THE BEST』

 6月16日、ユニバーサルミュージック移籍後日本でリリースされたBTSの楽曲を集めた『BTS, THE BEST』が発売される。BTSといえば2014年6月の日本デビュー以降、コンスタントに 日本でシングルとアルバムをリリースしてきている。今回のベストアルバムには2017年リリースの「血、汗、涙 -Japanese ver.-」から日本オリジナル曲「Film Out」までが収録される「Film Out」ではback numberとコラボしたことも話題になったが、近年のK-POPグループでは、本国でリリースした楽曲の日本語バージョンではなく日本オリジナル曲を活動のメインに置くことも少なくない。そこで本稿では、日本デビューや日本語バージョン/日本オリジナル曲のリリースの変化について考えたい。

 K-POPグループの日本デビューの仕方としては、まず最初に「韓国での人気楽曲の日本語バージョン」を出してから、日本国内でのファンダムや認知度の上昇と共に「日本オリジナル楽曲」をリリースするという手法が一般的だった。すでに日本のファンの間でお馴染みの楽曲の日本語バージョンを出すことは、第一には日本の既存ファンにも馴染みのある曲をファンにとっての母国語で歌うという「ファンサービス」という面と、韓国でのヒット曲を日本でも大衆に向けてアピールするという目的があると思われる。金銭的・労働的なコスト面でも新曲を作るよりも「最初の一歩」としては長所が多いのだろう。

 実際、「第一次KPOPブーム」と言われる2010年前後には、KARA「ミスター」や少女時代「Gee」、BIGBANG「FANTASTIC BABY」のように日本語バージョンがそのまま日本でも一般的なヒット曲になった例もあった。KARAや少女時代の場合、楽曲や振り付けが先に注目を浴びてから日本国内でのファンダムが拡大していくという楽曲の大衆認知が先行した人気だったため、しばらくしてから日本オリジナル楽曲をリリースするというパターンだった。

KARA - ミスター M/V
Girls' Generation 少女時代 'Gee' MV (JPN Ver.)

 BIGBANGの場合は日本国内ではグループのファンではなくても曲は知っているという、ファンダム型のアイドルというよりはアーティスト寄りの聴かれ方が多いことが日本語バージョンの楽曲が定着した理由と言えるのではないだろうか。「ファンダム優先型」の人気グループの場合も、2015年より前に日本デビューしたグループの場合は日本デビューのプロモーションがそのまま韓国楽曲のプロモーションを兼ねていたこともあり、ほとんどが「1枚目はシングルで有名曲の日本語バージョン」をリリースし、後に認知度やファンダム拡大に伴って日本オリジナル楽曲と日本語バージョンをタイトル曲/サブ曲として織り交ぜながらリリースしていくというパターンが多かった。

BIGBANG - FANTASTIC BABY -Ver. Final- M/V (Japanese Short Ver.)

 SHINeeやBTSのように、あえて日本デビューの時に直近のヒット曲ではなく韓国でのデビュー曲の日本語バージョンをリリースし、本国でのデビュー過程を日本でもなぞり直すようなリリースのパターンもあるが、いずれもシングルリリースの際のタイトル曲は「日本語バージョン」がほとんどだった。

SHINee - JAPAN DEBUT SINGLE 「Replay -君は僕のeverything-」Music Video
BTS (防弾少年団) 'NO MORE DREAM -Japanese Ver.-' Official MV

 2016年以降の「第二次K-POPブーム」からは、少しずつ日本デビューの仕方や日本語バージョンのリリースにも変化が出てきている。TWICEの2017年の日本デビューはシングルではなく、「TT」の日本語バージョンを収録した『#TWICE』で、先に「TT」の振付や曲自体が大衆認知されながらファンダムも拡大していくという、KARAや少女時代と似たパターンだったが、「One More Time」以降シングルは全て日本オリジナル楽曲だ。

TWICE「TT -Japanese ver.-」Music Video

 TWICEが所属するJYPエンターテインメントはアルバムのリリース方式は少し異なるものの、2PMやGOT7も「日本語バージョンはアルバム収録のみで、シングルは全て日本語オリジナル楽曲」というパターンだった。昨年日本デビューをしたStray Kidsも今のところ同じパターンなため、JYPエンターテインメント所属グループの日本活動はこのスタイルでいくということだろう。

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