LUNA SEA、圧巻の演奏で切り拓く“新しい物語”  延期を乗り越え実現した30周年記念ツアー

 約20分間の場内換気を兼ねた休憩時間の後、二部が開演。衣装を変えて再登場したメンバーに、クールダウンした会場が再び熱くなる。RYUICHIがおもむろに手を挙げ、〈Jesus don't you love me?〉と声を上げると、真矢のパワフルなドラムにSUGIZOの鋭いリフが重なり、ライブ定番曲の「JESUS」が始まる。観客たちは「待ってました!」と言わんばかりにリズムに合わせて身体を動かす。そして初期からの人気曲「DESIRE」「TRUE BLUE」「IN MY DREAM」とキラーチューンを立て続けに披露し、会場のボルテージをガンガン高めていく。その熱はステージにもしっかりと伝わっていたようで、RYUICHIは「今夜も最高です。ずっと終わらない夢を見てるみたいだよね、俺たちって」と今の感情を語った。

 ここでハプニングが発生。なんとSUGIZO側のスピーカーが故障してしまったとのこと。急遽MCでつなぐことになったRYUICHIは、「1年も延期になってしまったけど、たくさんの人がここに残ってくれたことに感謝しかない」と、改めてファンに感謝の言葉を述べた。機材が復活すると、そんなファンへの愛を伝えるために究極のバラードソング「I for You」を披露。深々とお辞儀をするメンバーに、観客たちは割れんばかりの大きな拍手で応えた。そんな穏やかな優しいムードを切り裂くように始まったのは、「ROSIER」。真矢がタイトに刻むドラム、Jのお決まりのマイクスタンドパフォーマンス、INORANとSUGIZOの暴れ回るギター、危険な香りが漂うRYUICHIのボーカル。会場を興奮の渦に巻き込む要素しかないこの曲は、何年経っても決して色褪せることない名曲だと改めて認識させられた。そして最後は「TONIGHT」で本編のラストを駆け抜けた。

 手拍子によるアンコールで出てきたメンバーは、「ありがとう!」と肉声で叫び、大きく手を振る。そして、医療従事者やフロントワーカーへの感謝の気持ちを込めて「Make a vow」を披露すると、観客たちはスマートフォンのライトで客席を青く染め、メンバーと想いを一つにした。メンバー紹介を兼ねた一人ずつのMCパートでは、真矢は華麗なドラムソロで観客たちを楽しませ、Jは「俺たち全員でライブ会場は安全なんだっていうことを証明していきましょう」とツアーへの意気込みを伝えた。また、INORANは「Sweetest Coma Again」のイントロを弾いて観客たちを驚かせるというお茶目な一面をのぞかせ、SUGIZOは「33年目が始まったね。一緒に、命が尽きるまで、この旅を共に歩んでいきましょう」と力強く語りかけた。

 彼らのメッセージに胸が熱くなったところで披露されたのは、数々のライブのラストを飾ってきた名曲「WISH」。この曲ほど、終わってほしくないと思う曲は他にないだろう。マスクをつけてステージを見つめる観客たちの目も潤んで見えた。そして最後は、切なさと温かさが共存する壮大な曲「so tender…」で、余韻をたっぷりと残しながら幕を下ろした。

 様々な制限がある中でも、圧倒的な演奏力や楽曲の素晴らしさ、そしてハイクオリティな演出で、満足感のあるライブを実現させたLUNA SEA。遂に実現したこの先のツアーでも、全国各地へその感動を届けていくことだろう。

■南 明歩
ヴィジュアル系を聴いて育った平成生まれのライター。埼玉県出身。

LUNA SEA オフィシャルサイト

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