B’z 稲葉浩志×Mr.Children 桜井和寿、最前線に立ち続けるために必要なもの 対談で明らかになった“歌”への思い

 スタジアム級の音楽を創造し、パフォーマンスを入念に調整する。対談で明らかになったシーンの最前線に立ち続けるために必要なものとは、エンターテインメントを引き受ける覚悟とそれを支える鍛錬であることは間違いない。“うまいボーカリスト”としてTaka(ONE OK ROCK)、藤原聡(Official髭男dism)といった後輩バンドのボーカリストへのリスペクトを示す姿も、常に最新の音楽や歌唱法を研究し、自分たちのバンドを新鮮に保ち続ける姿勢の表れのように思えた。

 両者の共通点であるバンドの作詞者という点においても、興味深い話が多かった。英語やでたらめで歌った言葉から近い語感の日本語を見つけて作詞するという手法が両者から語られたが、これはB’zとMr.Childrenの歌詞にそれぞれ特徴的な独特のワードセンスにも繋がっているように思う。大衆に露骨にチューニングを合わせるわけでなく、オリジナルな言葉遣いや耳を惹く表現を取り入れることで届く範囲や深度も変わるはず。ポピュラリティと記名性のバランス感覚もまた、国内音楽シーンを牽引するバンドの作詞者として重要なポイントだろう。

B'z Live from AVACO STUDIO

 「ゲネプロでお客さんが盛り上がることを想像するのが楽しい」と語る桜井、そして「届いた時に成立する、みたいなところがある」と語る稲葉、両者の目線の先には常にオーディエンスがいるという事実も明示されていた。これはどちらのファンにとっても喜ばしい事実であり、彼らが歌を歌う意味の一つになっているのは間違いないことだろう。コロナ禍で対面して観ることはしばらく叶わないかもしれないが、5月21日にサブスクリプションサービスで解禁されたB’zの全音源やYouTubeで公開中のMr.Childrenの台北でのライブ映像など、その表現に触れる手段は沢山ある。この対談を踏まえ過去音源を聴き、映像を観ながら、次にライブで生の彼らの歌声を聴くのを楽しみにして待ちたい。

Mr.Children Tour 2018-19 重力と呼吸 In TAIPEI [期間限定公開]

■月の人
福岡在住の医療関係者。1994年の早生まれ。ポップカルチャーの摂取とその感想の熱弁が生き甲斐。noteを中心にライブレポートや作品レビューを書き連ねている。
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