LOVE PSYCHEDELICO、20周年記念ツアーが開幕 圧巻の音響で奏でる“普遍的な楽曲の豊かさ”

 LOVE PSYCHEDELICOがデビュー20周年を記念した全国ツアー『LOVE PSYCHEDELICO 20th Anniversary Tour 2020』をスタートさせた。初日は2021年5月15日、埼玉県・三郷市文化会館。1年越しでようやく実現した20周年ツアーで、LOVE PSYCHEDELICOは、“ルーツミュージックに根差した現代的なポップミュージック”という根源的なスタイルを改めて見せつけ、会場に足を運んだオーディエンスを魅了した。

 昨年20周年を迎えたLOVE PSYCHEDELICOは、アニバーサリーイヤーに関連した活動を数多く行っていた。まず3月には、4枚組シングル集『Complete Singles 2000-2019』、2019年に行われた初のアコースティックツアーを収めた映像作品『Premium Acoustic Live “TWO OF US” Tour 2019 at EX THEATER ROPPONGI』(DVD/Blu-ray)、アナログLP『“TWO OF US” Acoustic Session Recording at VICTOR STUDIO 302』、ボックスセット『20th Anniversary Special Box』などの作品を同時にリリース。さらに4月には、2018年の配信シングル「Sally」以来、約1年4カ月ぶりとなる新曲「Swingin’」を配信リリースするなど、20周年のキャリアを総括しつつ、LOVE PSYCHEDELICOの新しい表現を発表してきたのだ。その集大成が2020年6月からスタートする20周年ツアーだったのだが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い全公演が延期に。約1年を経て、厳重な感染防止策、キャパの50%に抑えた観客数によって、ようやく開催へと至ったというわけだ。

 初日公演でまず印象に残ったのは、圧倒的な音の良さ。公演日2日前、NAOKI(Gt)は「只今噂の特注コンサートスピーカーを自らチューニング中。今回のツアーはいつもTOHOシネマズ音響監修の仕事でご一緒している映画館音響チームジーベックスの皆さんにご協力いただいて更にスペックアップ」(※1)とツイートしていたが、すべての楽器の音がバランスよく聴こえ、耳に負担がかからないサウンドはまさに最強。冒頭の「LADY MADONNA 〜憂鬱なるスパイダー〜」から、優れたサウンドデザインと卓越した演奏をストレスなく堪能することができた。昨年10月に東京・TOHOシネマズ立川立飛で開催された『LIVE THE GREATEST HITS 2020』(1stアルバム『THE GREATEST HITS』完全再現ライブ。会場はNAOKIがスピーカーのチューニングを監修した超高音質劇場)でも音の良さに驚かされたが、そのクオリティは確実に上がっていた。ちなみに開演前のBGMは、ドナルド・フェイゲン「I.G.Y.」、ボブ・ディラン「追憶のハイウェイ61」など。ツアーに参加される方はぜひ早めに会場に入り、音の良さを味わってほしい。

 KUMI(Vo)の歌、NAOKIのギターに加えて、深沼元昭(Gt)、高桑圭(Ba)、冨田政彦(Dr)、松本圭司(Key)といった豪華なバンドメンバーによるアンサンブルとパフォーマンスも充実していた。バンド編成でのライブは、アルバム『LOVE YOUR LOVE』(2017年)のツアー以来4年ぶりとあって、オープニングから数曲はやや緊張が感じられたが、曲を重ねるごとに硬さが取れ、持ち前のオーガニックな演奏をたっぷりと味わうことができた。KUMIのビンテージ感を増した歌声も本当に魅力的だった。

関連記事