ReN、二度の振替を経て実現した1年越しの『HURRICANE』ツアーファイナル ライブの喜び噛み締めた公演に

 シンガーソングライターのReNが4月16日、東京・お台場Zepp DiverCity TOKYOにて『ReN ONE MAN「HURRICANE」Tour Final 2021 -STAY STRONG-』を開催した。もともと本公演は、2019年11月から2020年2月にかけて行われていた同ツアーのファイナルとして、2020年3月に行う予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により延期となっていたもの。これまで二度の日程振替に見舞われ、今回およそ1年を経てようやく実施の運びとなった。当日は1日2公演で、第2部のみ生配信も行われた。

 定刻となり、アコースティックギターを抱えたReNがステージに現れループステーションを使ってギターのカッティングを重ねたり、ボディをパーカッションに見立ててリズムを組み立てたりしながらリアルタイムでトラックを作っていく。さらにマイクでボイスパーカッションも加える頃には、会場から自然発生的にハンドクラップが沸き起こる。この日のライブは「HURRICANE」からスタート。自分と同世代の人たちが抱える不安や葛藤、生きづらさを、ハリケーンが取っ払うという「音楽的カタルシス」を描いたこの曲は、奇しくもコロナ禍でもがく私たちの状況を歌っているかのよう。〈過ぎさってく日々の中で 色褪せてったmy dream〉、〈吹き荒れる嵐よどうか 全て消し去ってくれ〉と、伸びやかな声で歌われる歌詞世界が、これまで以上に胸にしみた。

 続く「Life Saver」では、哀愁を帯びたハイトーンボイスとリズミカルなアコギのカッティングが柔らかく混じり合う。サンプラーによる打ち込みのリズムや歪ませたアコギのヘヴィなフレーズが、ゆっくりと熱を帯びていく青い炎のようなグルーヴを生み出し、オーディエンスの熱気を少しずつ上げていった。

 「ようこそZepp Diver City! 集まってくれてありがとうみんな。1年越しのファイナルです。本当にもう、爪をかじるような思いでこの日のステージを迎えているから」と満面の笑みでオーディエンスに声をかけたReN。「今日はルールが一つだけあります。みんな、声を出しちゃいけないとかライブらしくないことを言われちゃっているかもしれないけど、それ以外だったら何をやってもOKです!」と、マスク着用での参加を強いられているオーディエンスに彼らしいユーモアを届けた。

 続く「What I’m Feeling」も、ループステーションを駆使しながら様々な音色のギターやリズムをレイヤーしていく。「足元のループステーションを使って一個ずつ音を足していくからね。それぞれのグルーヴ、みんなの持っているグルーヴがあると思います。マスクの向こうの笑顔も是非、ここまで届けてくれると嬉しいです」とReNが話していたように、会場から湧き上がるハンドクラップも「フレーズ」としてループステーションに取り込まれ、まさに会場全体で「その場限りの音空間」を作り上げていく。さらに「Aurora」では、モジュレーション系のエフェクターによるギターサウンドが、曲名どおりオーロラのように幻想的なサウンドスケープを展開していた。

「去年の2月に広島公演を終えて、『よっしゃ次はファイナルだ。これを終えたら次のステージへ行くぞ』と思った途端、これ(コロナ)で。しかもライブをやる1週間前だったんじゃないかな。状況がどんどんシリアスになってきて。しかも、それが2回も続くとは思わなかった。本当に悔しかったし、みんなもきっとこの空白の1年間でいろんな不安を抱えていたと思う。でも、そんな中で嬉しかったのは、この日のチケットをみんな離さずに待っていてくれたこと。だから今日は精一杯感謝を込めて、みんなの代わりに喉が枯れるまで歌おうと思っているから、楽しんでくれたら嬉しいです」

 今日の喜びをそう伝えた後、コロナ禍のステイホーム期間中に作った「We’ll be fine」を、ループステーションを使わずアコギ1本で披露する。「ライブが出来なくてどうしようもなかった時、何か自分の中から出てくる言葉をちょっとでも届けられたらと思って書いた曲です」と話していたように、澄んだファルセットで歌う〈You’ll be fine, I’ll be fine, everything is alright〉というポジティブなメッセージが胸を打つ。

 「せっかくだから次の曲は、俺とみんなで一緒に作り上げようか。『いいよ!』という人は、そのリアクションをハンドクラップでしっかり返してください。手のひらを真っ赤にして帰ってもらうからね」と場を和ませ、エレキギターに持ち替えたReNがレゲエの裏打ちカッティングを繰り出す。〈わがままなままの俺だけど お前らと出会えて最高なんだ〉という「Friends Forever」の歌詞は、今この場にいるオーディエンス、配信を見ている視聴者に向けての感謝とリスペクトの気持ちを歌っているかのようだ。

「今年は桜が散るのも早かったし、去年もみんなで桜を見るなんてことも出来なかったし、気持ちよく過ごせない毎日だけど、でもそんな中でも桜はちゃんと咲いていて。それを見ていたらセンチメンタルな気分にもなったりして(笑)。そんな、寒くもなく暑くもない季節の中で書いた曲をリリースしたので歌います」

 そう言って演奏したのは、手放したくても手放すことのできない恋について、女性目線で歌う新曲「あーあ。」。続く「Illumination」で抜けるようなファルセットを披露した後、今年夏にニューアルバムをリリースすると発表したReN。また、ドラマ『警視庁強行犯係 樋口顕』(テレビ東京系)の主題歌に使用された「Running Forward」の制作エピソードとして、以前のインタビューでも語ってくれた内藤剛志の「無茶ぶり」のようなリクエストを明かしていた。その「Running Forward」は、音源では力強いEDM調のリズムとアコギを融合させていたが、この日のライブではループステーションでアコギを幾重にもレイヤーし、また一味違った角度から楽曲の魅力を引き出していた。