声優 関智一、なぜいま改めてブレイク? 一貫した役者としての表現に迫る
4月15日スタートのドラマ『桜の塔』(テレビ朝日系)に声優の関智一が出演するというニュースは、SNSを中心にアニメ・声優ファンの間でも大きな話題と声優 関智一、いま改めてブレイク迎えた理由 一貫した役者としての表現に迫るなった。彼が演じるのは、水樹爽(演:広末涼子)や富樫遊馬(演:岡田健史)が所属する警視庁刑事部捜査一課の課長・牧園隆文。ノンキャリアの猛者たちが集う捜査一課を束ねる重要な役割だ。
3月末から放送中のバラエティ番組『声優パーク建設計画VR部』(テレビ朝日系)でも、ぺこぱと並んでMCを務めている関。トークのスキルは、本職のお笑い芸人からも「あんなにふざける人だと思っていなかった」、「めちゃめちゃしゃべるし面白くて正直驚いた」と言われるほど高い。
90年代から声優としてキャリアを積んできた関智一が、なぜいま改めてブレイクを迎えているのかーーその軌跡を辿る。
バラエティ、声の芝居、歌の活動。それぞれに詰まる魅力
先述したぺこぱの感想どおり、バラエティ番組における関のインパクトは強烈だ。金曜日のパーソナリティを務める声優バラエティ番組『声優と夜あそび』(ABEMA)では、過去に生放送中に爆睡し、最後まで目を覚まさなかったことも。「疲れがたまっている関に元気を出してもらう」という企画ではあったものの、酸素カプセルに入りイビキまでマイクに抜かれる自由奔放ぶりには、改めて驚かされた。
2018年3月末まで放送されていた男性声優による生ワイド番組『ユニゾン!』(文化放送)でも、月曜深夜のパーソナリティを務める関には数々の逸話が残されており(興味のある方は個々で調べていただきたい)、「関智一=生放送に出したらキケン」というイメージは声優ファンの間では共通認識となっている。
そんな関だが、声優としての魅力・実力は言わずもがな。『桜の塔』出演のニュースが流れた際は、アニメに詳しくない人たちにもわかるようにと『ドラえもん』(テレビ朝日系)のスネ夫、『鬼滅の刃』(TOKYO MXほか)の不死川実弥、『呪術廻戦』(MBS/TBS系)のパンダといったキャラクターが紹介されていたが、『機動武闘伝Gガンダム』(テレビ朝日系)のドモン・カッシュ、『のだめカンタービレ』(フジテレビ系)の千秋真一、『妖怪ウォッチ』(テレビ東京系)のウィスパーなども外せない。
なかでも(筆者の独断と偏見で紹介させていただくとすれば)、やはり『PSYCHO-PASS サイコパス』(フジテレビほか)の狡噛慎也と『Fate/stay night』シリーズのギルガメッシュだろう。
逃れられない過去をもつ孤高の元刑事・狡噛慎也。ぶっきらぼうだが後輩や同僚を思う気持ちは強く、それでいて、ふと手を離すとどこかへ行ってしまいそうな危うさがある。そんな狡噛の声には、関智一のなかの“イケメン要素”が総動員され、さらには“憂い”というスパイスまでもが乗っているのだから、たまらない。
一方、ギルガメッシュは自らを「唯一無二の王」と語る尊大なキャラクターだ。黄金の鎧を身に纏い、必殺技の「王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)」では、ありとあらゆる宝具を無数に出現させ攻撃するというチートぶり。そんなギルガメッシュに関の華やかで艶のある声が乗ると、英雄王としての説得力が一気に増すのだ。狡噛慎也とギルガメッシュ、性質は異なれど、ともに関智一だからこそ演じられるキャラクターである。
さらに、関の魅力は歌にも及ぶ。なかでもオススメするならば、『ディズニー・デート~声の王子様~』の「ゴー・ザ・ディスタンス」、『ディズニー 声の王子様 第2章〜Love Stories〜』の「ユール・ビー・イン・マイ・ハート(ターザン)」、『Shizuka Kudo Tribute』の「激情」あたりだろうか。
ひとつ一つの言葉を優しく丁寧に歌い綴る「ゴー・ザ・ディスタンス」、甘い声で伸びやかに歌う「ユール・ビー・イン・マイ・ハート」、軽やかながらもアツい熱がこもる「激情」。どの曲からも伝わってくるのは、関智一という人の誠実さだ。もしかすると、歌を歌うことは彼にとって、かぎりなくパーソナルに近い作業なのかもしれない。