『マツコの知らない世界』ヴィジュアル系特集に反響 LUNA SEAからMALICE MIZER、アリス九號.まで……非日常を追求する尊さ

 番組の後半からは、最近のヴィジュアル系バンドの話題へ。SNS世代を生きる今のバンドは、ヴィジュアル系に別の要素を掛け合わせてオリジナリティを出していることが多いため、V系×○○とキャッチーなジャンル分けで紹介された。まず、V系×筋肉として紹介されたのは、攻撃的なサウンドのメタルコアバンド・NOCTURNAL BLOODLUST。初めて見た人に衝撃を与える尋(Vo)の鍛え上げられた体は、ヴィジュアル系=華奢であるという価値観を真正面からぶち壊した。V系×地下アイドルと紹介された0.1gの誤算は、ライブ中にファンと綱引きをしたりビニールボートでフロアにダイブしたりと、楽しさに振り切ったエンタメ要素満点のバンドである。他にも、ライブパフォーマンスの一種として華麗なフォーメーションダンスを魅せるV系×ダンスのアリス九號.、本格的なラップ・メタルを取り入れた前衛的かつ複雑な音楽性を提示するV系×ラップのCHOKE、ヴィジュアル系演歌歌手として注目を集めているV系×和装の最上川司など、ヴィジュアル系という言葉でしか括ることのできない、幅広いジャンルのバンドが紹介された。NG要素なし、まさにかっこよければ何でもありという懐の深さも、ヴィジュアル系が様々な角度から非日常を追求してきた結果なのかもしれない。

 最近のバンドの特徴からもわかるように、ヴィジュアル系は約30年の歴史の中で、時代の流れやファンのニーズにより、大きな変化を遂げてきた。今回の番組では語られなかった2000年代や2010年代にも、シーンに大きな影響を与えるバンドがたくさん生まれていたし、ヴィジュアル系の中のさらにニッチな界隈にも面白いバンドがたくさんいた。同じヴィジュアル系のファンでも、通ってきたバンドや世代によって、このシーンに対する印象や解釈が異なることも大いにあるだろう。「あのバンドのエピソードを聞きたい」「このバンドの楽曲や功績を語りたい」。番組を観た後にそう思った人が多くいればいるほど、やはりヴィジュアル系は語りがいのある面白い文化なのだと言える。この番組をきっかけに各々が“自分から見たヴィジュアル系”について語り、「やっぱりヴィジュアル系ってかっこいいよね、楽しいよね」と言い合うことが、このシーンを再び熱くさせるための第一歩なのかもしれない。

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