【リアルサウンドキャリア】ジェイ・コウガミが語る、デジタル時代のエンタメ業界と人材のあり方

【リアルサウンドキャリア】ジェイ・コウガミが語る、デジタル時代のエンタメ業界と人材のあり方

 2020年、新型コロナウイルスの感染拡大が影響し、音楽業界をはじめとするエンターテインメント業界では、これまで行ってきたライブやフェス、舞台や映画などのデジタルトランスフォーメーション化が急速に進んでいる。同時に社員の働き方やビジネスモデルなど企業も変化を迫られ、これからの業界を担う人材ニーズが高まっている。そのエンターテインメント業界とデジタル人材を繋ぐ新たなサービスとして、「リアルサウンドキャリア」がオープンした。

 オープンを記念し、デジタル音楽ジャーナリスト・音楽ビジネス/ニュースメディア『All Digital Music』編集長であるジェイ・コウガミ氏にインタビュー。日本の音楽業界、エンタメ業界を成長分野と捉える同氏に、今後企業に求められるビジネスとの向き合い方、人材の育成、確保の必要性など話を聞いた。(編集部)

急速に進む、音楽ビジネスのデジタル化

ーー2020年のコロナウイルスの感染拡大に伴い、音楽業界では特にライブ配信、音楽配信のストリーミングサービスが活発になりました。デジタル領域におけるエンタメのあり方の変化をどう見ていますか?

ジェイ・コウガミ:コンテンツもビジネスもデジタル化へ急接近したことが一番大きい変化だと思います。音楽ストリーミング、動画、ライブ配信、SNS発の二次創作(UGC)は、日本のエンタメシーンで無視できなくなりました。加えて、著作権収入など、エンタメにおける収益モデルもデジタルにシフトしています。サブスク解禁やYouTubeで動画公開のような、コンテンツをデジタル化するだけでは十分ではありません。周辺ビジネスの作り方から、戦略までデジタル対応しないといけないことが浮き彫りになりました。2020年を振り返ると、予期せぬ新型コロナウイルスの影響で、日本の音楽業界、ライブ業界は慌てふためいていたように感じました。レコード会社や事務所は、CDを売るための店舗販売イベントが出来なくなっていますが、コロナ禍にはデジタル上で何ができるか、ファンがどう喜ぶ体験を作り続けるか、企画から再準備せざるを得なかったと思います。

ーー確かに突然のシフトチェンジを求められたように感じます。

ジェイ・コウガミ:コロナ禍で音楽業界の企業の多くは、アーティストやクリエイター、ファン、世の中、従業員、提携する会社など、向き合う人が変わったり、増えたりしました。このような中で、次に起こる変化に向けて対策を講じる企業と、そうでない企業とで、今後差が出てくると感じています。その対策の一つは、デジタル時代、ストリーミング時代に必要な人材を育てることです。

 人材育成の方法も幾つかありますが、適任者を見つけてゼロベースで育てるやり方や、既存の人材の専門性をさらに高めていくやり方。他業種から音楽業界やエンタメ企業への転職やヘッドハンティングするという方法もあります。音楽業界へ人材の流動化という変化に注目しています。

ーーその人材の流動という点では、どのような事例がありますか?

ジェイ・コウガミ:例えばマーケティング業界にいた人が、転職して今はレコード会社のデジタルチームのリーダーとして働いているという事例は日本ですでにあります。また、レコード会社でデータ分析を通した音楽ビジネスに取り組んでいる人もいます。「データ・アナリスト」は、日本の音楽業界では比較的新しい職種です。新人アーティストを見つけて契約したり、急上昇中のアーティストの活動を、SNSやテレビ、ストリーミングなどいろいろなデータを客観的に見て次の施策を企画したりアドバイスする役割です。レコード会社に限らず、芸能界や事務所でも今後は、ストリーミングの仕組みを理解して、オンライン上のファンや音楽リスナーの消費行動が客観的に分析できる人や仕事が重宝されるようになるかと思いますね。

 また、音楽のプロモーションが、動画やSNS、オンラインなどが主軸になっているため、受け手となる様々なファン層やリスナーに届けるためのクリエイティブに理解ある人材も必要です。

 さらに、ストリーミングに必要な音楽メタデータの管理を行う仕事もとても重要になっています。メタデータの管理はこれまでバックエンド的な仕事でした。今は、レコード会社がデジタル領域のビジネス競争で勝っていくための戦略的に重要なポジションを担っています。

ーーなるほど。企業においても働く側においてもいろいろな可能性がある。

ジェイ・コウガミ:そうですね。僕は、レコード会社や事務所、音楽業界の団体などで、勉強会や講演会でお話させていただく機会がある時には、「音楽ビジネスの明日を創る仕事」というテーマで未来の職種を増やす人材育成の話をさせていただくことがあります。つまり、音楽の未来においては、まだ音楽業界が気付いていない仕事や、これから必要とされる仕事が山のようにあります。転職を考えている人で、SNSやストリーミング、YouTubeの仕組みやトレンドを理解したい人や、これからの可能性があるストリーミング世代のアーティストやSNS発のクリエイターと仕事がしたい人にとっては、チャンスがすごく広がってきました。そして、こういう人材が今、音楽業界にもっとも必要とされている方たちなんですよね。これからの時代や人に寄り添った音楽ビジネスで時代やシーンを築ける可能性があると思います。

ーー他にはどのような仕事がこれから必要になると考えますか。

ジェイ・コウガミ:音楽ビジネスやエンタメビジネスでは、テクノロジーの仕事が今後さらに増えていくと思います。エンタメは、新しいクリエイターがこれまでに無い新しい何かを作って人に届けていく世界です。その創作を行うためのシステムやプラットフォーム、アプリを開発するエンジニアやプログラマーも当然当てはまります。

 一方で、人材を育てましょう、採用しましょう、と企業内で働きかける、人事の人材も考えていかないといけないですね。これからの音楽業界の人事担当は、ストリーミングやSNS、UGCをわかっていないとダメだと思いますよ(笑)。会社の中の新人研修制度や、スキルアップの場作りも必要になってくるはずですので。

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