流線形/一十三十一が選ぶ、「おすすめのシティポップアルバム(アナログ盤)」 『Talio』との関連性を紐解く
一十三十一が選んだのは、『Big Wave』(山下達郎)、『PEARL PIERCE』(松任谷由実)、『NIAGARA SONG BOOK / NIAGARA FALL OF SOUND ORCHESTRAL』の3枚。
1984年にリリースされた『Big Wave』は、サーフィンをテーマにしたドキュメンタリー映画『ビッグ・ウェイブ』のサウンドトラック。「THE THEME FROM BIG WAVE 〜ビッグ・ウェイブのテーマ」から始まるA面はオリジナル楽曲、B面はザ・ビーチ・ボーイズの「GIRLS ON THE BEACH」「PLEASE LET ME WONDER」など、山下のルーツに根差したカバー曲が収められている。
「“その瞬間、ここじゃないどこかへ連れてってくれる”アルバムです。エンディング主題歌「悲しいくらいダイヤモンド」も、そんな“瞬間多幸感”みたいな主題歌を目指したところがあります」(一十三十一)
「真珠のピアス」「DANG DANG」「夕涼み」などの人気曲を収めたアルバム『PEARL PIERCE』(1982年)は、極限まで洗練されたアレンジ、抑制の効いたバンドグルーヴ、都会の女性を描いた歌がバランスよく共存する作品。80年代シティポップ、和モノグルーヴの名盤としても名高い。
「わざわざ針を落として泣きながら聴きたいアルバム。実際にその歌詞世界の主人公になったような魔法がかかります。都会に生きる大人の女のしたたかさ、ズルさがクールで好きです」(一十三十一)
NIAGARA FALL OF SOUND ORCHESTRA名義による大瀧詠一の『NIAGARA SONG BOOK』は、全編インスト楽曲による作品。『A LONG VACATION』の収録曲「恋するカレン」「カナリア諸島にて」「雨のウェンズデイ」「FUN×4」「君は天然色」のほか、吉田美奈子、鈴木雅之などが歌唱した「夢で逢えたら」などが収められている。弦のアレンジは井上鑑。ジャケットのイラストは、『Talio』と同じく、永井博が手がけている。
「シティポと言ったらアナログレコード、アナログレコードと言ったらジャケット、ジャケットと言ったら永井博さん。このアルバムは“BIG SUN”(一十三十一の両親が北海道・札幌で営んでいたトロピカルアーバンリゾートレストラン)でも、よくかかっていました」(一十三十一)
二人が挙げた作品はもちろん、『Talio』の音楽性につながっている。大野克夫、クリエイション、SHOGUNなどが手がけた70年代のドラマの劇伴を想起させるジャズファンク、フュージョン系の楽曲を流線形、そして、エレクトロ系のポップナンバーを一十三十一が担当。また、一十三十一が歌うエンディング主題歌「悲しいくらいダイヤモンド」、堀込泰行を迎えたオープニングテーマ「金曜日のヴィーナス feat. 堀込泰行」、一十三十一&堀込泰行によるデュエット曲「嘘つき手品」などの歌モノも充実している。70〜80年代の音楽の流れを汲みながら、現代性と普遍性を見事に共存させた『Talio』をぜひ、二人がリコメンドした名盤とともに楽しんでほしい。
■リリース情報
『Talio』
アナログ
2021年3月24日発売
¥4,180(税込)
CD
2020年11月11日発売
¥2,800(税抜)
・NHK総合 ドラマ10『タリオ 復讐代行の2人』オリジナルサウンドトラック
・エンディング主題歌「悲しいくらいダイヤモンド」、オープニングテーマ「金曜日のヴィーナス feat. 堀込泰行」、一十三十一が歌う挿入歌「蜃・気・楼」をはじめ、一十三十一&堀込泰行によるデュエット曲「嘘つき手品 feat. 堀込泰行」や劇伴インスト曲、計21曲を収録。
※音源は11月11日にCDパッケージリリースされたアルバム『Talio』と同内容。
※ジャケットビジュアルも、CDと同様のものがLPサイズとなる。
【収録曲】
1. 金曜日のヴィーナス feat. 堀込泰行
2. タリオのテーマ
3. モンキービジネス
4. 予告編
5. 蜃・気・楼
6. 哀愁のタリオ
7. 恋愛小説
8. 魚座の最後の日
9. 真実のテーマ ~Focus~
10. シボレー67
11. チープスリル
12. 真夜中の訪問者
13. 嘘つき手品 feat. 堀込泰行
14. 復讐と冷静の間で
15. エデンの惑星
16. 曇り時々雨
17. ミスターK
18. 真実のテーマ ~City Light~
19. タリオのバラード
20. 悲しいくらいダイヤモンド
21. 黒岩のテーマ