いよいよ迎える『ボス恋』最終回ーーKis-My-Ft2とドラマが歩んだ軌跡を振り返る
ほんわかとした、子犬のような笑顔で奈未や視聴者をときめかせてきた潤之介だが、第9話では、奈未の未来を思い何度も表情を曇らせた。それでも奈未には、決して悲しい顔を見せない。指輪を返されたときでさえ、涙をこらえて微笑み「泣かないで」と、優しく奈未を気遣うのだ。
奈未が去ったあと、潤之介だけが振り返り、ひとり静かに涙をこぼす。このシーンだけでも伝わる、「宝来潤之介」という人間のただひたすらに優しい心。夢も恋も、自分ではない誰かのために諦めてきた潤之介を思うと涙がこぼれた。玉森は、やはりその役の人生を生ききる役者だ。潤之介はこれまで、いくつの言い知れぬ想いをあの優しい笑顔に隠してきたのだろうかと、考えるほどに胸が締め付けられた。本作には決して描かれることのない潤之介の「これまで」が、第9話で見せた表情に、あの涙に込められていたように思う。
前出演作『グランメゾン東京』(TBS系)においても、数々のシーンで多くの視聴者の涙を誘った玉森。この人の涙はなぜ、こんなにも美しいのだろうか。その答えを知りたいから、もっと役者としての玉森を見たいと思う。きっと、同じ思いを抱く人は少なくないはずだ。
そしてこれほどまでに、観る者を引き込むエースがいる。それがKis-My-Ft2というグループである。
奈未と潤之介の恋の行く末は『ボス恋』最終話の大きな見どころだ。どうか「Luv Bias」の歌詞にあるようなーー君のために花を選んで帰るような、ときには、君の好きなミルフィーユを一緒に食べに行くようなーーそんな“たいしたことじゃない”幸せが、2人を待っていますようにと願う。
■新 亜希子
アラサー&未経験でライターに転身した元医療従事者。音楽・映画メディアを中心に、インタビュー記事・コラムを執筆。Twitter(@akino_ippo)