10-FEET、“心のダイブ”で駆け抜けた50分のロックショー

10-FEET、“心のダイブ”で駆け抜けた50分のロックショー

 新しいライブ様式とは何だろうか。その答えはまだ誰にもわからない。だからこそ、イチから積み上げていく楽しさ、面白さ、興奮があるのではないか。

 ライブでダイブ・モッシュするのは当たり前? サークルピットに入って暴れ回ることが至福の喜び? コロナ禍において、バンドと観客の関係性を根底から見つめ直すことは決して悪いことではない。そんな気持ちを胸に、立ち止まるよりも「あなたに会う」ために10-FEETは前に進むことを決意した。

 バンドは昨年10月14日にリリースしたシングル『シエラのように』に伴う全国ツアー『10-FEET “シエラのように” TOUR 2020-2021』の終盤を迎えている。ただし、本ツアーは1日2部制となっており、ここではZepp Tokyo公演2部の模様をお伝えしたい。

TAKUMA

 開演時刻にSEが流れると、「よっしゃ行くぞ!」とTAKUMA(Vo/Gt)が号令をかけ、NAOKI(Ba/Vo)、KOUICHI(Dr/Cho)と共にメンバー3人の演奏がスタート。耳馴染みのある「RIVER」のギターが刻まれるものの、ベースとドラムのフレーズはまるで違う。すかさず「ちょっと待って!」とTAKUMAが止めに入ると、「すごくおかしい。近代アートやん!」と自らツッコミを入れる。どうやらNAOKIは「2%」を弾き、KOUICHIは「super stomper」を叩いていたらしく、場内は1曲目から笑いに包まれた。ド頭にこういう“おふざけ”を入れるのはかなり珍しいことだ。そこには、入り口で観る者の心を解きほぐしたいという、10-FEETなりの策略があったのだろう。

 「顔でモッシュしろ!」というTAKUMAの言葉を合図に、ようやく本当の1曲目「STONE COLD BREAK」が始まると、早くも会場は好反応。間髪入れずに「あなたは今どこで誰ですか?」で駆け抜ける。温かな歌メロとテンポ速く進む曲調で心地よく加速すると、極彩色のミクスチャーを突きつける「ハローフィクサー」に繋ぐ。この曲も聴くたびにドシッとした安定感が備わり、ライブで欠かせない1曲へと成長を遂げている。NAOKIのベースがブンブンうねりを上げる「彗星」においては、〈あとどれだけ傷つき合ったら/変わり合えたかな〉と胸を突く歌詞にもハッとさせられた。

 「ちょっと古い曲やります。みんな飛べる曲!」と前置きして「Freedom」をプレイ。ラップ、レゲエと自在に乗りこなすTAKUMAの歌唱も際立ち、フロアを見渡すと小さな子供から10-FEETと同世代の大人まで、嬉々とした表情でジャンプしていた。

 そして、中盤に差し掛かり、「シエラのように」「ヒトリセカイ」の流れにはグッと惹きつけられた。まず、「シエラのように」にはイントロから心を掴まれ、歌詞の一語一語が耳の奥に響き、サビの高揚感は名曲然とした輝きを放っている。「寂しかったよー!」とTAKUMAは曲中に言葉を発し、曲の後半では客席からも自然とハンドクラップが沸き起こるほど。

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