星野源が明かす、「創造」の背景にある創作へのスタンス「自分と他者との間に流れる川に橋をかける行為」

星野源が明かす、創作へのスタンス

人間は“遊ぶ”ために生まれてきたんじゃないか

ーーところで、この曲には“遊ぶ”という言葉が何度も登場しますよね。星野さんにとって“遊ぶ”ことはどれくらい重要なことですか?

星野:人間ってすごく変な生き物だと思っていて。余計なことをしてしまうというか、余計なことを思い付いてしまう生き物だと思うんですよ。

ーー余計なこと?

星野:たとえば、縄文土器。食べ物を食べるためや、何かを入れるための器にあんな装飾は必要無いじゃないですか。でも、あんなにトゲトゲしい器を作って、大事にする。あんなの絶対に使いにくいのに(笑)。

ーー言われてみれば確かに、単に食べるだけなら模様やデザインは必要ないです。

星野:でも、人間はそこに美しさや楽しさや価値を見出せるんです。人間って頭脳があるからどうしても生きる意味を求めてしまったり、何をすべきだとかいろいろと考え込んでしまうんだけど、結局は何か綺麗なものや面白いものを生み出したり、“遊ぶ”ために生まれてきたんじゃないかっていう思いが昔からずっとあって。僕たちにとって“遊ぶ”ことって、食べるとか寝るとか、そういう行動と一緒に体に組み込まれているんじゃないかなって思うんですよ。

ーー人間の生きる目的の一つに“遊ぶ”があると。

星野:たとえ狩りが下手だったり喧嘩が弱かったとしても、何か面白いものを生み出したら、何か美しいものを生み出したら、それだけで価値のある存在になれる。それって他の動物にはない人間の価値そのものだと思うんです。それこそゲームを生み出すって人間にしかない遊びだと思いますし。

ーーその話にも通じるかもしれませんが、今作でもう一つ特徴的なのが、“独”と書いて“いち”と読ませたり、〈あぶれては はみ出した 世をずらせば真ん中〉とか〈進化を君に 外れ者に授ける〉といったフレーズです。世の中から“あぶれる”ことをこの曲は肯定的に歌っていますよね。

星野:僕は小さい頃から気がつくと“あぶれて”いたんです。幼稚園でも小学校でも中学校でも、何かコミュニティがあって、その小さな社会みたいなものに「染まりたい」と思って頑張るんだけど、どうしても仲間外れになってしまう経験があって。それに対して悲しい気持ちをずっと抱いていたんです。人とコミュニケーションを取るのが苦手だったというのもあって、自分と社会、自分と自分以外の人との間に一本の川が流れてる感じがしてて。でも中学生の時、曲を作ったり公開したり、何かを表現することで「良いじゃん」「面白いね」って言ってくれる人たちが出てきて。自分にとって創作というのは、自分と他者との間に流れる川に橋をかける行為なんです。

ーー創作することで他人と繋がれる。

星野:コミュニティの輪に入れなかったとしても、作品を作ることで「それ面白いね」ってことで、僕は端っこにいたんだけど、創作することで僕が中心のコミュニティができる。そういう経験を何度もしてきたんです。それで何かを創作することは自分にとって必要なことだと思ったと同時に、そういう過程を人間はずっと繰り返して進化してきたんだろうなと思ってて。

ーーというと?

星野:海の中にいたある生物が、海で幅を利かせてる他の生物たちに追いやられて、海にはもう場所がなくなって陸に出ていく。それが進化になる。海という社会の中では“あぶれて”いても、違う世界の中心になれる。それが生物がそもそもずっと繰り返してきた進化の本質なんだと思うんです。そうすると、人類の歴史も同じようなことを繰り返してきたんじゃないかと思えてきて。一つの土地にいた人たちの中から逃れた人たちが、他の土地で生活を始めて今の世界がある。ある社会では生きられなかった人間が、別の社会ではものすごい力を発揮するみたいに。僕が感じた創作する楽しさとか、それによって人と話せたりコミュニケーションできる喜びみたいなものと、そうやって生物が進化を繰り返してきた歴史を重ね合わせて今回の歌詞を書きました。

ーーなるほど、それであのフレーズに。

星野:それで〈進化を君に 外れ者に授ける〉という歌詞を書いたんです。そしたら『はずれ者が進化をつくる』というタイトルの本を見つけて、合ってた!って(笑)。農学博士の方が書いた学生向けの本なんですけど、すごく良い本でした。それを読んで自分の書いた歌詞は間違ってなかったと、より強く思えましたね。

ーー今の話を聞いて、これまで星野さんが多様性を大切にしてきた姿勢にも納得できた気がします。それでは最後の質問です。2010年にデビューされて昨年ソロ活動10周年となりましたが、これからの10年をどんな10年にしたいですか?

星野:今回の「創造」の作業がめちゃくちゃ楽しかったんです。久しぶりに腰を据えて作れる作品になったので生半可なものは作りたくない気持ちが強かったんですが、自分としてもハードルが高くなってる中でそれを超えられる作品を作れたという実感がありました。だから自分でもこれからが楽しみで。予定がしっかり決まってるわけではないんですけど、これからは一曲一曲に対しての熱量を上げた状態で制作したいと思ってるんです。一つの作品を大切に作っていくことを続けていければと思います。

星野源 – 創造 (Official Video)
星野源「創造」
星野源「創造」

■リリース情報
「創造」
(スーパーマリオブラザーズ35周年テーマソング)
2021年2月17日(水)配信スタート
配信はこちら

オフィシャルサイト

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