アイナ・ジ・エンド、緑黄色社会……個性的な表現をダイレクトに実感 新譜5作をピックアップ

安藤裕子『衝撃』
安藤裕子『衝撃』

 4年半ぶりのアルバム『Barometz』(2020年)によって新たなフェーズに突入した安藤裕子からニューシングル『衝撃』が到着。アニメ『「進撃の巨人」 The Final Season』(NHK総合)のエンディングテーマとして書き下ろされたタイトル曲は、絶望、悲しさ、苦しさ、怒り、そして、諦念の末に生まれる安らかな感情までを約3分のなかで描き切った楽曲。讃美歌のような美しさ、ハードコア的な激しさ、クラシック的な壮大さ、そして、現代的なエレクトロの先鋭性を兼ね備えたサウンドメイク、神話的世界観と生々しいエモーションを結びつけるボーカルは、まさに衝撃だ。その他、繊細なピアノ、幻想的なシンセ、イノセントの喪失を描いた歌詞が溶け合う「nontitle」、そして、エキゾチックなトラックとともに浮遊感に溢れた童謡風のメロディが漂う「花一匁」を収録。

TVアニメ「進撃の巨人」The Final SeasonノンクレジットED【安藤裕子「衝撃」】
SKE48『恋落ちフラグ』(Type-A)
SKE48『恋落ちフラグ』(Type-A)

 2008年の活動スタートから12年。SKE48 1期生としてグループを牽引してきた松井珠理奈の卒業記念シングルが届けられた。リード曲「恋落ちフラグ」は、ディスコティックなサウンドのなかで、“異性として意識したことは一度もなかった”女の子をいきなり好きになってしまった“僕”の感情の揺れを描いたアッパーチューン。卒業をテーマに据えるのではなく、SKE48らしいアイドルポップで有終の美を飾るところが(アイドルとして存在することにこだわってきた)松井らしいと思う。この曲はグループ史上初の全員参加曲。総勢68名によるフォーメーションダンスにも注目してほしい。TYPEA盤には、松井のソロ曲「Memories ~いつの日か会えるまで~」を収録。劇場での思い出、グループでの活動を率直に振り返りながら、新しい旅に出る決意を歌ったバラードはまさに感涙だ。

SKE48 / SKE48 「恋落ちフラグ」Music Video/2021年2月3日発売

■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。

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