Mega Shinnosuke、“切なくて無敵な個性”が爆発した『1Night Online Party』 遊び心満載の仕掛けも楽しめる一夜に
すると突然、別撮りの屋外インタビューが挟まれるのだが、借り物のゴールデンレトリバーに引きずられるように散歩するメガシン。曰く2020年はコロナで引きこもり、11月に二十歳になり飲んだくれ、二日酔い、不眠症という日々を振り返り、誰か近所で犬を飼って欲しいと飲むたびに話しているという。ライブではMCをせずにわざわざ映像を撮る。それが彼なのだろう。
再び映像がフロアに戻ると、ロマンティックなイントロからグッとシューゲイザー的なギターアンサンブルで「本音」へ。これだけジャンルの振り幅が大きくてもしっくり来るメンバーなのは、おそらくいいもの、エッジの効いたもの、突出したものについての感性が近い世代感ゆえなのだろう。ボーカルレベルを音の壁以上に上げないミックスセンスもいい。この後、“エセ・アメリカン”なTVショッピング・コーナーでグッズ紹介。これも別撮りという手の込みようだ。そのセットのままで「Sweet Dream special short ver.」を歌う場面も。
懐かしい80年代風の画質と4対3の画角のまま、グッと黒っぽいファンク「O.W.A.」へ。ファンキーミュージックなのに〈Stop funky music〉で始まるサビもなかなかシニカル。ギターソロとキーボードソロがさらに熱量を上げたかと思うと、「ありがとう! 最後にとっておきのロックンロールをかまして終わります」と、一転してドライブしまくる2ビートの「明日もこの世は回るから」に突入。青春パンクのようでもあり、ブリティッシュテイストも含んだメロディが理屈抜きにいい。今の自分を追い抜いて行くような、時間というものの怖さや不安をかなぐり捨てるような速さで駆け抜けたラスト。切なさと無敵感が同居する感覚にこみ上げるものがあった。
ロックンロール、ネオアコ、ファンクなどジャンル横断的であること以上に、この「切なくて無敵」という一番濃いエッセンスを抽出することこそ、Mega Shinnosukeの第一義。それが奇しくも、オンラインライブでより明確に伝わったのだ。
■セットリスト
『Mega Shinnosuke 1Night Online Party』
1.Japan
2.桃源郷とタクシー
3.Midnight Routine
4.blue men.
-Play Games-
5.Sports
6.電車
7.憂鬱なラブソング
-Mega Shinnosuke Dog Talk Channel-
8.本音
-Mega Shinnosuke TV Shopping-
9.Sweet Dream special short ver.
10.O.W.A.
11.明日もこの世は回るから