日向坂46が貫く“誰もおいていかない姿勢” 休業やアクシデントを乗り越える本質的なグループ力
また、前述した『日向坂で会いましょう』でも番組開始当初(『ひらがな推し』)から積極性を見せていたメンバーだけでなく、現在は「メンバーそれぞれが自分のキャラを見つけて、優劣なく活躍できている状態」(富田鈴花『BUBKA』2021年2月号)になっている。
バラエティに苦手意識を持っていた河田陽菜と潮紗理菜は「変わった」メンバーのひとりだ。2人とも共通して「ありのままの自分」を出せるようになったという。
「以前はバラエティが苦手だと思っていたんですけど、いまは『楽しい』と思えるようになりました」「何も考えずにありのままの自分を出すようになりました(笑)」(河田陽菜『Top Yell NEO 2020 AUTUMN』)
「私はグループに入った時からバラエティ番組への苦手意識が強くて、カメラが怖くなっていた時期もありました」「自分ができないことでメンバーに迷惑をかけてしまったんですけど、みんなは『大丈夫だよ』と温かい言葉をくれて寄り添ってくれて。さらにオードリーさん、サンシャリーナ(潮のファン)のみなさんのおかげで、いまはありのままの自分でお話できるようになりました」(潮紗理菜『BUBKA』2021年2月号)
さらに、潮は同インタビューで「私がネガティブになった時はまわりのメンバーが助けてくれるというか、まわりにSOSを出さなくても気づいたら寄り添ってくれるんです」と語っている。
彼女たちは「約束の卵」の〈もし仲間が倒れた時は僕が背負うから〉〈一歩一歩寄り添うように 一つになって歩いて行こう〉という歌詞を実践しているグループなのだ。日向坂46の「誰もおいていかない」姿勢が、楽しいことだけじゃなく辛いことも苦しいこともあった人たちの心を救っているのだろう。
その姿勢が変わらない限り、2021年も日向坂46の躍進は続くはずだ。そして、今年こそ“約束の卵”である東京ドーム公演で輝かしいパフォーマンスを見せてくれるに違いない。
■大貫真之介(おおぬき しんのすけ)
フリーの編集・ライター。アイドルを中心に、サブカルチャー全般を多くの雑誌に寄稿。『EX大衆』、『月刊エンタメ』、『日経エンタテインメント!』、『OVERTURE』などで坂道シリーズの記事を執筆。