ENHYPEN『BORDER : DAY ONE』収録曲がバイラル絶好調 過酷なデビューを経てたどり着いた“緩急自在な歌とダンス”

参照:https://spotifycharts.com/viral/jp/weekly/latest

 Spotifyの「バイラルトップ50(日本)」は、最もストリーミング再生された曲をランク付けした「Spotify Top 50チャート」とは異なり、純粋にファンが聴いて共感共有した音楽のデータを示す指標を元に作られたプレイリスト。同チャートを1週間分集計した数値の今週分(12月24日公開:12月17日~12月23日集計分)のTOP10は以下の通り。

1位:Ado「うっせぇわ」
2位:優里「ドライフラワー」
3位:SEKAI NO OWARI「silent」
4位:Broken kangaroo「水平線」
5位:SugLawd Familiar, OHZKEY, Vanity.K「Longiness」
6位:菅田将暉「虹」
7位:ENHYPEN「Given-Taken」
8位:BEK & Wallin「Storeulv 2016 (feat. Moberg)」
9位:虎韻「南の島」
10位:Eve「廻廻奇譚」

ENHYPEN『BORDER : DAY ONE』

 今回はENHYPENにスポットを当てたい。11月30日にリリースされたデビューアルバム『BORDER : DAY ONE』は、国内外CD及び配信チャートで上位にランクイン。本国韓国のCD売り上げ集計サイト「HANTEO CHART」では、発売初日に22万9,991枚を売り上げ、アルバム部門でデイリー1位を獲得した。ちなみに前述した「HANTEO CHART」は、同チャート加盟店のPOSレジの売上から集計されたデータがベースになるランキングである。つまり、出荷数でなく、実際に購入された数が対象になる。ファンのアクションがそのまま結果に直結するチャートと言えるだろう。さらに同アルバムは、グローバルiTunesチャートでも上位に食い込んでいる。日本、リトアニアの2カ国で首位を獲得した他、アメリカを含めオーストラリア、メキシコ、ブラジル、ロシア、インドなど27の国と地域ではトップ5に入った(参照:SPICE)。

 今週のバイラルチャートでも、ENHYPENの楽曲は50位以内に5曲がランクインしている。デビューアルバム『BORDER : DAY ONE』の収録曲は6曲であるが、その中でオープニングの1曲はIntro扱い、最後の1曲はOutro扱いである。両曲ともバックトラックはゴージャスで曲として十分に成立するクオリティだが、台詞のようなアプローチが中心で、曲の尺も他に比べて短い。今回のバイラルチャートの結果から、いかにこのアルバムが、そしてENHYPENがデビュー前から注目されていたかがわかる。

 ENHYPENは、サバイバルオーディション番組『I-LAND』から誕生したK-POPボーイズグループだ。このオーディション番組は、BTSが所属するBig Hit Entertainmentと、IZ*ONEやJO1などを輩出したオーディション番組『PRODUCE』シリーズを企画するCJ ENMがタッグを組み制作された。世界181カ国で延べ4300万人以上が視聴したという。オーディション番組は、「出演者=デビュー候補生」の瞬間瞬間の生き様を赤裸々に映し出す。厳しいレッスンで涙する姿も、視聴者の感情とシンクロしやすい。そうすることでデビュー前からファンダムが構築されるのだ。そしてオーディション番組というのは、これまで韓国や日本国内だけに限らず、世界各国で、エンターテインメントのひとつの手法として脈々と受け継がれてきたスタイルである。オーディション番組の中では、個々の喜怒哀楽はもちろん、努力、葛藤、焦燥、成長……と様々な瞬間が切り取られてきたが、『I-LAND』には、“前代未聞の瞬間”が課せられていた。メンバー同士が脱落者を選択するという条件である。過酷、というよりも非情。そして類を見ないという意味では非常だ。

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