新しい地図の3人と新たな1年を迎える前にーーNAKAMAたちとたくましく歩み続けた、2020年の『ななにー』を振り返る
誰もが予想できない事態に直面した2020年。各イベント、季節行事も軒並み中止になったせいか、例年に比べて「どんな1年だったのか」を思い出せないという方も少なくないのではないだろうか。
そこで、今回は定点観測として今年1年間の『7.2 新しい別の窓』(ABEMA※以下『ななにー』)を振り返ってみたい。『ななにー』は、多くのエンタメがストップせざるを得なかった時期に、様々な工夫を凝らしながら生放送を続けてきた。
もともと「イレギュラーを楽しむ」というテーマで作られてきたSNSバラエティであり、稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾の3人が掲げた“新しい地図”の名の通り、前代未聞な挑戦を続けるべく立ち上がった番組でもある。この混乱の2020年に、彼らがたくましく歩み続けた軌跡から、新しい年へのワクワクを見つけられるのではないだろうか。
芸能界の大きな流れの変化を感じた新春
2020年最初の放送は、1月1日の元日だった。昨年の12月31日に『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで! 大晦日年越しスペシャル! 絶対に笑ってはいけない青春ハイスクール24時!』(日本テレビ系)に稲垣、草なぎ、香取の3人が出演。久しぶりの地上波テレビへの出演に加えて、「SMAP」の話題も取り入れられたことで、大きな注目を集めた。
新しい地図を広げて以降、急激に空いてしまった地上波テレビ番組との距離。そして「SMAP」という名前すら口に出すこともどこか遠慮を強いられるような、芸能界全体に行き過ぎた忖度を誰もが感じていた。だが、2019年~2020年の年末年始にかけて、その空気が入れ替わるような場面がいくつもあったことを思い出す。
元日放送の「ホンネトーク」コーナーでは今田耕司が登場し、吉本興業でも「大きな流れが変わった」という発言があった(新しい地図にとって2020年は転機の年に? 元旦の『ななにー』で見えた変革の兆し)。業界の中で、空気を読みすぎてオファーを出し損ねてしまう、すれ違いがあるということも。「2020年(共演が)実現せぇへんかったら、何かココじゃない力が……」と笑いを誘っていたが、これは未知のウイルスという力が働いたという意味では、今後また共演が実現することを期待せずにはいられない。
2月には、米ロサンゼルスを拠点にして新天地で挑戦を続けるローラがゲストに登場(新しい地図は人生を遊ぶ大切さを教えてくれるーーローラが出演した『ななにー』ホンネトークから考える)。YouTubeチャンネルのコラボなどを楽しむ微笑ましい回に。自分を取り巻く大きな流れを感じながらも、自分自身の直感や確信を大事に生きていくことに決めたというローラ。その生き様は、3人と共鳴しているように感じた。そして、それは今振り返ると、コロナ禍を経てやってくる新しい時代をどう生きるのかという、私たちへの問いにも通じているように思える。
自覚的に生きる思考が求められる世の中へ
新型コロナウイルスの感染者が広がっているという不安なニュースが駆け巡り、3人も『NAKAMA to(と) MEETING_vol.2』の中止を決断。3月の放送では世の中の不安を受け止め、落ち着いて行動することを呼びかけた姿が印象的だった(新しい地図と加藤浩次の“ホンネトーク”だからこそ明かされた、中居正広会見でのメール内容の裏側)。
そんな混乱を極める中で、加藤浩次が「ホンネトーク」に登場。地上波テレビで姿を見られなくなった3人のことも「おかしい」と正面を切って主張していた加藤だけに、まさにホンネトークという内容だった。ちょうど中居正広がジャニーズ事務所からの独立を発表する記者会見が行なわれた直後ということもあり、3人の口から中居の話が聞けたのもNAKAMAにとっては嬉しい展開に。
吉本興業とエージェント契約を結びながら個人事務所を設立して、自分の意志で動ける体制を作ったという加藤。ローラに続いて加藤もまた、誰かが作ったレールの上を歩くだけが正解ではないことを、身をもって示してくれたひとりだ。これまでは大きな流れに乗ることが成功とされてきたが、より自分がどうなりたいのかを自覚的に生きていくことが幸せに近づく方法なのではないかと考えさせられる場面が増えていく。