香取慎吾の歌声は、思い出と共に刻まれた“特別な音”だ 「歌ってみた動画」から感じるエンターテイナーとしての気概

 香取慎吾が12月12日に公式YouTubeチャンネルにアップした動画『LiSA『炎』-MUSiC CLiP- 再現して歌ってみた!』が、公開1週間を待たずに100万回再生を突破。今現在も、その勢いは止まらない。

LiSA『炎』-MUSiC CLiP- 再現して歌ってみた!

 また、香取の「歌ってみた動画」は、『夜に駆ける/YOASOBI 歌ってみた!しんごちん【香取慎吾】』が547万回、『香水/瑛人 MV再現 歌ってみた!しんごちん【香取慎吾】』が577万回、『猫/DISH// 歌ってみた!しんごちん【香取慎吾】』が219万回……と、いずれも圧倒的な再生回数を誇る(いずれも12月20日時点)。なぜ、こんなにも香取の「歌ってみた動画」は多くの人の胸を掴むのか。

愛と尊敬と笑いのあるパロディのプロ

 かつて『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)で、数々のパロディコントを披露してきた香取。そっくり似せるだけではなく、そこから笑いを生み出していくためには、ネタ元となる人物や作品の特徴を細かく見つめていく必要がある。本人よりも自覚的に、その魅力を分析していくというのは、愛情が必要な行為だ。

 今回の「『炎』を歌ってみた動画」も、LiSAが歌うMVのシチュエーションとそっくりなロケーションで撮影。カメラアングルはもちろん映像の雰囲気もすごく近い。どれだけLiSA「炎」のMVを研究したのかを推し量ることができる。

 歌詞に連動して感情豊かに歌い上げていく香取。かと思いきや、黄色い帽子を取り出し「しんごちん」になっていく様に、誰もが頬を緩めずにはいられない。「そこまでこだわって作り上げたMVが(笑)」と。尊敬と愛を大前提にしながらも、見る者をクスッとさせようというエンターテイナーとしての気概が、香取の「歌ってみた動画」にはある。

 アーティストたちが人々の心を揺さぶる根源を見つめていく観察力、抽出したテイストを模していく器用さ、さらに自分なりのテイストをのせていくクリエイティビティ……幼少期からテレビの世界に身を置き、真似る(学ぶ)日々を過ごしてきた香取。そんな彼だからこそ培われたパロディ力が、YouTubeで活かされるとどうなるのかを私たちは目撃しているのだ。

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