シングル『Fall in Love Again feat. 三浦大知』インタビュー
KREVAが語る、2020年コロナ禍での活動と新曲で伝えたいこと 「いろんなものが結実してる感じがある」
フィーチャリング3連作でもらった力を全部「Fall in Love Again」につぎ込む
ーー「Fall in Love Again feat. 三浦大知」はどういう風に作っていったんでしょう?
KREVA:さっき話したように一緒に曲を作ろうって話はずっとあって、5月くらいにトラックを渡して。歌詞を書いたのが7月くらいですかね。
ーー『908 FESTIVAL』の三浦大知さんとのトークでも、コロナ禍のドキュメントをモチーフにした曲だけれど、それをラブソングの形にしたという話をしてましたね。
KREVA:はい。2020年のこの状況だから生まれたっていうのは間違いないですが、「今をみんなで協力して乗り切ろう」みたいな歌詞じゃなくて、恋愛に喩えればこれからもずっと歌い続けられるかな、と。でも、その歌詞の中に距離感の話だったりが入ってることで「2020年は大変だったよね」って思い出す曲になればいいなと思って。「またみんなで集まれる」ということを「Fall in Love Again」ってことにしようって俺から提案しました。
ーー三浦大知さんの反応と、共作はどんな感じに進んでたんですか?
KREVA:もちろん反論はなかったし、「いいですね」って感じでしたね。で、5つくらいトラックを送って、その中で自分がコロナ禍で作った中で一番気に入っているトラックを、大ちゃんも「これをやってみたい」と言ってくれて。それで作っていった感じです。これは後になって知ったんですけど、大ちゃんの新曲の「Antelope」を聴いて、ああやっぱり同じことを考えてたんだなって、今になって思いますね。
ーー「Fall in Love Again」は『908 FESTIVAL』で初披露されたわけですが、これを作ってる時は『908 FESTIVAL』に向けて、どんなプランを練っていたんでしょう?
KREVA:まず、やるかやらないかっていうこともわからない状況だったので、何も考えてなかったんですけど、大ちゃんだけはとりあえず何があっても9月8日のスケジュールを聞いてるんで(笑)。当時は無理だろうなって思っていたけれど、頭の片隅には「いつかライブでできたらいいな」っていう気持ちはありました。
ーー6月のオンラインライブ『①(マルイチ)』を経て、『908 FESTIVAL』はどう具体化していったんでしょうか?
KREVA:まず、オンラインの配信ライブをやってみたり、他の人の配信ライブを観た時に思ったのは、オンラインならではの強みがあるとしたら、いくらでも喋っていいところだなと思ったんです。話しているのをじっくり見せるのはいいんじゃないかなっていう。リアルなライブで15分もMCしてたら「座っていいですか?」みたいな微妙な空気になるけど、オンラインだったら曲の説明とか歌った感想をじっくり喋りながら進めていくこともできる。なので、テレビの音楽番組のトークが長いバージョンみたいなイメージはありました。最初は映像を撮影するためのスタジオからやれればいいかなと思ったけれど、事務所としては、ツアーが出来なくなったのもあるし、ずっと一緒にやってきたライブスタッフと大きいところでやりたいって言われて。そこでやるならどうしようかっていうところから考えていった感じですね。でも、その時にZORN、PUNPEE、tofubeats、三浦大知、JQ、MIYAVIという並びが思い浮かんで。今年は石川さゆりさんとのコラボもあったので、これ全部やったら面白くなるんじゃないかなっていう気はしました。
ーー結果として、7月から9月にフィーチャリングで参加した新曲が3カ月連続で出て、そのメンツが『908 FESTIVAL』で全員集まるという、仕込んだとしてもなかなかこうならない絶妙のタイミングになりましたね。
KREVA:最後にやった「Fall in Love Again」以外は、全部呼ばれてますからね。MIYAVIの「Rain Dance / MIYAVI vs KREVA vs 三浦大知」もそうだし、さゆりさんにも今年の2月に出たアルバムの「火事と喧嘩は江戸の華 feat. KREVA」で呼ばれているわけだし、ありえない感じですよね。みんなに本当に感謝してます。
ーー特にZORNと石川さゆりがラインナップに並ぶ距離感は、なかなかないと思います。
KREVA:『908 FESTIVAL』のTシャツに出演者の名前を出すんですけど、ZORNの下に石川さゆりって入れてほしいっていうのだけは、こだわりで押し通しました(笑)。一生並ぶことがないくらいの並びだし、作ろうと思って作れるものじゃないので。普通だったら、ただの突拍子のない並びになっちゃうじゃないですか。でも俺からすれば全部繋がりがあるので、そんなことができたっていう。本当にありがたいですね。
ーー「タンポポ」は『908 FESTIVAL』の直前に作ったとのことですが、これはどういう風に作っていったんでしょう?
KREVA:「One Mic」を作ろうって話になった時から、もともとお互い1曲ずつ作ろうって話になっていて。それで家で作ったトラックでいいのができたので、それを提案したっていう感じですかね。
ーー「タンポポ」のリリックについてはどうでしょう? フロウやライミングもかなり練り込まれたものだと思うんですが。
KREVA:まずPUNPEEとの「夢追人」、それからZORNとの「One Mic」、tofubeatsの「RUN REMIX」が出来て、この3つは自分的にも手応えがあったし、誰に聴かせてもとにかく評判が良かったんです。でも、これって貰った勢いだから、その熱量で自分のシングルに挑もうと思いました。客演で呼ばれた時くらいのつもりで、密度の濃い、スキルフルに熱いラップをやろうと思って「Fall in Love Again」の歌詞を書いたんですよね。こういう曲名で、三浦大知のフィーチャリングで、コロナ禍の歌で、ラブソングで、でもそこはスキルを見せる。しっかり韻を踏んで、フィーチャリング3連作でもらった力を全部ここにつぎ込むようなつもりで「Fall in Love Again」を作りました。それを経てZORNとまたやるってなったら、自分の中にも改めてどんな曲でもしっかりスキルフルに言いたいことを伝えられる自信があったし、ZORNも韻に関して自分が思っていたもう一個上のレベルにいた。フィーチャリングって競い合いになりそうなんですけど、ZORNは本当に一緒に作ってる感じがあるんですよ。KICK THE CAN CREWはサビをいつも3人で作ってるんですけど、その感じで全体を作ってるような、それくらい共有できる部分があった。もともとZORNから力をもらってたとこもあったんですけど、さらにパワーアップできた感じですかね。
ーー「タンポポ」は理想という言葉が一つのモチーフになってますよね。これはどういうところからなんでしょうか?
KREVA:コロナ禍で何でもかんでも我慢になって「うまいもんも食いてえ」って言うことすらためらうような空気があった時に「それは違うんじゃないかな」って思って。もちろん「関係ねえよ、みんなで集まって騒いじゃうぜ」とかじゃなくて、「ああしたい、こうしたい」っていうのをしっかり言っていくというのは、こんな状況だからこそ大事なんじゃないかなって。だから我々もステージに立つのを続けて行くんだと宣言するのをテーマにしようってZORNに話してた感じでした。
ーー先ほどに韻の密度という話もありましたけれど、ここまで韻の密度の高いリリックもなかなかないんじゃないかと思います。
KREVA:本当にそうですね。英語で踏んでるときくらい音が合っている。それを日本語で破綻なくやってる。ここまで成功してるラッパーは他にいないと思う。
ーー「タンポポ」はミュージックビデオが公開されて3週間で100万回再生という大きな反響を呼んでいますが、いろんな動きがちゃんと結実した結果という感じがあるんじゃないでしょうか。
KREVA:そうですね。もちろん曲の完成度をすごく高めたこと、曲が格好いいっていうことは何より大事な要因だと思うけど、それだけじゃなくて、発表のやり方とかも含めて、ここ一連の流れの勢いがそこにつながっているんじゃないかと思います。いろんなものが結実してる感じはありますね。
ーー最後に、KREVAさんは2020年という年をどんな風に振り返ってますか?
KREVA:全体的にスキルアップしたなって感じはすごくしています。曲を作るスキルもそうですし、映像の編集とか発信の仕方も含めて、デジタル面でスキルアップしたなっていう感じがします。あと、すごく印象的だったのは「Fall in Love Again」で大ちゃんが最後のサビで〈あの日にはもどらないよ〉っていう歌詞を書いてきたこと。2020年に「戻れない」じゃなくて「戻らない」って三浦大知が歌うんだっていうのがすごく嬉しかったのを覚えてますね。強くなったなっていう。最初に一緒に「Your Love feat. KREVA」を作って、そこから10年か11年くらい毎年ずっと歌ってきて、今振り返ると当時の三浦大知は少年みたいだった。でも、今じゃ天皇陛下の前で歌うようになって、「あの日にはもどらない」と高らかに宣言する。そこにグッときた感じです。だから、俺も今年にスキルアップしたし、振り返ってあの時どうこうじゃなくて、どんどんこのままスキル伸ばしていって、この先で「Fall in Love Again」できる時に爆発させたいなっていう気持ちはあります。
■リリース情報
『Fall in Love Again feat. 三浦大知』
発売:2020年12月23日(水)
※完全生産限定盤A/Bの2形態で発売。
予約はこちら
【完全生産限定盤A】
CD+DVD / スペシャルブック仕様
¥5,908(税抜)
【完全生産限定盤B】
CD / スペシャルブック仕様
¥1,908(税抜)
<収録内容>
-CD-
1. Fall in Love Again feat. 三浦大知
2. タンポポ feat. ZORN
3. Fall in Love Again feat. 三浦大知 (Inst.)
4. タンポポ feat. ZORN (Inst.)
-DVD- ※完全生産限定盤Aのみに付属
1. KREVA Streaming Live
「① (マルイチ)」 at Billboard Live TOKYO 2020.6.24
(01. パーティーはIZUKO? ~2019 Ver.~
02. 国民的行事
03. 王者の休日 ~2019 Ver.~
04. 人生
05. 基準 ~2019 Ver.
06. ストロングスタイル ~2019 Ver.~
07. One feat. SONOMI
08. スタート ~2019 Ver.~
09. アグレッシ部 ~2019 Ver.~
10. 瞬間speechless
11. かも ~2019 Ver.~
12. EGAO
13. もしかしない
14. トランキライザー ~2019 Ver.~
15. 素敵な時を重ねましょう feat. SONOMI
16. 涙止まれよ feat. SONOMI
17. ひとりじゃないのよ feat. SONOMI
18. 音色 ~2019 Ver.~)
2. Fall in Love Again feat. 三浦大知 (Music Video)
3. タンポポ feat. ZORN (Music Video)
4. Fall in Love Again feat. 三浦大知 (Making)
5. タンポポ feat. ZORN (Making)
配信情報
KREVA
「タンポポ feat. ZORN」
※ストリーミングサービスおよび主要ダウンロードサービスにて配信中
「Fall in Love Again feat. 三浦大知」
※ストリーミングサービスおよび主要ダウンロードサービスにて配信中