イワツボコーダイ×maeshima soshi楽曲歌いこなす新星 佐藤ミキとは? 『魔法科 来訪者編』ED曲で注目集める“シルキーボイス”

 今や押しも押されもせぬ人気アーティストとなったLiSAをはじめ、国内のみならず海外にも活躍の場を拡げている多数の実力派シンガーを擁する音楽レーベル・SACRA MUSICより、またも注目の存在がデビューする。彼女の名前は佐藤ミキ。10月から放送中のTVアニメ『魔法科高校の劣等生 来訪者編』のエンディングテーマとして話題を集める「名もない花」で、12月2日に待望のメジャーデビューを飾る、期待の新星だ。

 『魔法科高校の劣等生』は、佐島勤のライトノベルを原作とする人気アニメシリーズ。2014年に放送されたTVアニメ第1期では、LiSAの代表曲の一つ「Rising Hope」がオープニングテーマとして人気を博したほか、GARNiDELiAや安田レイらがテーマソングを担当するなど、音楽面でもクオリティの高い楽曲で支持を集めている。そんな注目作のTVアニメ第2期において、佐藤ミキが新人ながらもエンディングテーマに抜擢された理由は、彼女のアーティスト性と楽曲に触れれば、きっとすぐにわかるはず。ここでは佐藤ミキのこれまでの軌跡を辿りつつ、その魅力に迫りたい。

 彼女の存在と歌声が初めて公になったのは、2020年7月16日。オフィシャルサイトと同時に公式YouTubeチャンネルが開設され、そこで公開されたのが初オリジナル楽曲の「Play the real」だ。楽曲制作を手がけたのは、西野カナ「Have a nice day」やKis-My-Ft2「Another Future」、Little Glee Monster「足跡」など、多数のメジャーアーティストのヒット曲で知られる音楽家のイワツボコーダイと、ヒプノシスマイクや泉まくら、4s4kiらの作品に関わる傍ら、自身もアーティストとして作品を発表している新進気鋭クリエイターのmaeshima soshi。二人はJewel「前へ」やFAKY「little more」といった女性ダンス&ボーカルグループの楽曲をコンビで手がけてもいるが、そこで聴かれる最先端のダンスミュージックとJ-POPを融合したスタイルは、佐藤ミキの「Play the real」にも共通している。煌びやかなシンセとハウスビートを軸にしたアップリフティングなサウンドは、海外のポップスとの同時代性を感じさせつつ、日本人の耳を惹くキャッチーさも有している。

 そんな楽曲の核となるのは、シルキーボイスと呼ばれる彼女の歌声。どこか儚くも芯の強さを感じさせるその歌い口は、まさに絹のような光沢としなやかさを備えており、その細やかなニュアンスは、どんな曲調にもフィットすることを予感させる。ダンスミュージック的な推進力を持った本楽曲においても、Aメロでの少しアンニュイなアプローチから、力強く突き抜けるようなサビへと至る開放感は聴きものだ。加えて、彼女自身がイワツボコーダイと共作した歌詞にも注目。冒頭の〈確かなものは何もない旅 この声だけを頼りに〉というフレーズは、アーティストとしての第一歩を踏み出した彼女の決意表明であり、曲名の「Play the real」を踏まえて聴くと、不安な状況が続く現実に向けたメッセージにも受け取れる(この楽曲は新型コロナウイルスが感染拡大した時期に作られたという)。

佐藤ミキ 『Play the real』M/V(short Lyric ver.)

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