ズーカラデル、リュックと添い寝ごはん、Omoinotake……シーンを盛り上げる3ピースバンド 小編成から生み出す最大の魅力

ズーカラデル『がらんどう』

 ベース、ドラムにメロディを奏でる1台の楽器。3ピースは古くからスタンダードな編成だ。今注目の若手にもこのシンプルなスタイルを取っているバンドは多い。本稿では今後のシーンを盛り上げそうな3ピースバンドを紹介していきたい。

 ズーカラデルは吉田崇展(Vo/Gt)、鷲見こうた(Ba)、山岸りょう(Dr)からなる3ピースバンド。普遍的なメロディを持つ楽曲は話題を呼び、今年夏頃からはTikTokで「夢の恋人」を使用した動画が多くアップされるなどしてライトなリスナーからも人気を獲得。9月23日にはメジャーデビュー作『がらんどう』をリリースした。

ズーカラデル“トーチソング”(Official Music Video)

 拠点・北海道から上京してレコーディングされた同作は、新たな始まりの予感と何かが終わりかける感傷が同居した作品だ。投げ出す寸前にギリギリ湧き上がるエネルギーを込めた歌、想いが伝わりきらないもどかしさを描く歌。簡単ではない日々の悲喜こもごもが、口ずさみたくなるコーラスとともにスルリと心へ流れ込んでゆく。暮らしの足元に落ちていた温かさや、どこかに隠れていて気づかなかった大切さを拾い上げ、僕らの営みを肯定してくれる。大きなステージも目に浮かぶのに、身近さも感じられるロックンロールだ。

ズーカラデル“ころがる”(Official Music Video)

 ソロシンガーだった吉田がバンドセットでライブをするために結成されたのがズーカラデルだ。故に、楽曲の中心には吉田の歌が常にある。どこか飄々としながらも言葉に輪郭を与え、じんわりと心に馴染んでゆくその声。そこにぴったりと寄り添うように鳴らされるベースとドラムは歌の魅力を目いっぱいに広げて届ける。吉田の弾くギターもソロパートやテクニカルなプレイに頼らず、歌に込めた情感を引き出すのに徹する。シンプルな3ピースだからこそ出せる素朴な味わい深さだ。

 リュックと添い寝ごはんは松本ユウ(Vo/Gt)、堂免英敬(Ba)、宮澤あかり(Dr)からなる3ピースバンド。バンド名だけではコミカル系かと思ってしまうが、実態は真摯に歌を投げ込むストレートなロックバンドだ。

 松本が放つあどけなさを残す歌声と、青々しさが滴る歌詞世界をさっぱりとしたサウンドで演出する音楽性。3月リリースの1stミニアルバム『青春日記』は、今年高校を卒業したばかりの彼らが送る日々の空気が丸ごとパッケージされている。青春期のぼんやりとした不安、どこへでも行けそうな高揚感、それらがないまぜになった等身大の音楽だ。8月リリースの楽曲「生活」も、小気味良いロックナンバーでありながら中身はコロナ禍にしか生まれないメッセージが詰まっている。バンドのディスコグラフィが彼らのたどってきた歴史そのものであり、生きる世界を映し出しているのだ。

リュックと添い寝ごはん / 生活 [Music Video]

 元々メンバーは4人であり、音源で聴こえるギターは2本。ライブでもサポートメンバーを入れた4人体制で活動しており、そういう意味では3ピースバンドとしての印象は薄いかもしれない。しかし3ピースであるが故に、彼らの楽曲は様々なアレンジや異なる楽器を受容するポテンシャルを持っているとも言える。まだまだキャリアをスタートしたばかりの彼ら。10月2日には未来への高揚感に満ちた「あたらしい朝」をリリース、さらに12月9日には1stフルアルバム『neo neo』でメジャーデビューも決定し、今後が楽しみでならない。

リュックと添い寝ごはん / あたらしい朝 [Music Video]