ヤバイTシャツ屋さん、SUPER BEAVER、WANIMA......ロックバンドのアティチュード示す、切実なメッセージが光る新曲たち

ヤバイTシャツ屋さん『You need the Tank-top』

  最後に、ヤバイTシャツ屋さんの「Give me the Tank-top」。9月30日にリリースされた4thアルバム『You need the Tank-top』の1曲目を飾る楽曲だ。2部制など、通常とは違った方法をとりながら『“You need the Tank-top” TOUR 2020-2021』を開催中の彼ら。どんな状況でも楽しませてくれる彼らが、その存在感を思い切り詰め込んだのが「Give me the Tank-top」だ。カラッと明るくパンキッシュなサウンドに、ほんの少し切なさを垂らしたリアルなメロディ。「歌いたいことが溜まってるんだよ!」と言わんばかりに畳みかけてくる歌詞。そのすべてが、まるで砂漠に降るスコールの如く乾いた心身に染み渡っていき、「ああ、やっぱり私にはヤバTが必要だ!」という気持ちが沸いてくる。〈大きい声 合法で発し Going Crazy〉〈うるさくてくそ速い音楽を もっと浴びるように 着るように 聴く〉なんて、ライブハウスを愛するすべてのキッズが涙なくしては聴けないフレーズではないだろうか。そんな想いを、彼らは〈ほらまた帰っといで 激しく飛び込め/いつだって優しく包み込む Tank-top again〉と受け止めてくれる。今、行き場のないキッズーーもしかしたら彼ら自身もそうかもしれないがーーが、心身を解放できる場所がこの曲にはある。

ヤバイTシャツ屋さん - 「Give me the Tank-top」Music Video

 三者三様だとは思うが、どの楽曲からもロックバンドの真価が感じられる。私が大好きなロックバンドというのは、本当にヤワじゃないな、ならば自分も精一杯生き抜いていこうじゃないかーーそんなふうに思わせてくれるのだ。「今こそ、ロックバンドは必要だ」ということが、この3曲を聴けばきっとわかってもらえると思う。

■高橋美穂
仙台市出身のライター。㈱ロッキング・オンにて、ロッキング・オン・ジャパンやロック・イン・ジャパン・フェスティバルに携わった後、独立。音楽誌、音楽サイトを中心に、ライヴハウス育ちのアンテナを生かしてバンドを追い掛け続けている。一児の母。

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