豆柴の大群は、“色物”ではなく“本物”だったーーパフォーマンスの努力が滲んだ初ワンマンライブ

 バラエティ番組から生まれ、WACKに所属する豆柴が、ライブにコントコーナーを設けるというのもなんら不思議なことではなかった。クロちゃんや豆柴のマネージャーに加え、BiSHのアイナ・ジ・エンドとハシヤスメ・アツコもサプライズ登場(1部では渡辺淳之介の姿も)。死体となったクロちゃんを偽装するため、腹話術で操る豆柴メンバー。クロちゃんの声マネをするアイカ・ザ・スパイに、手でクロちゃんの口を動かすカエデ、熱々の小籠包と粉まみれの信玄餅を食べさせるアイナとハシヤスメという、なんともカオスな構図だ。

 アイナは豆柴のメンバーをオーディションの頃から見守り、人一倍慕ってきた一人。初のワンマンのパフォーマンスに対して感慨深げに話すその表情からは、5人に対する思い入れの深さが伝わってきた。ステージ上では天丼で笑いをかっさらっていたハシヤスメも、「そばにいてよ Baby angel」でミユキに振り付けを直伝するなど、裏で交流を深めていたようだ。それは大サビ前のエレピに合わせ、ミユキが左右に動きながらピアノを弾くというもの。どこか奇妙でユーモアに溢れたその動きに、(言われてみれば)ハシヤスメの姿が重なる。

 メンバー一人ひとりが最後に流した涙は、これまでのデビューからワンマンライブまでの不安とそれに勝る豆粒に会えた喜びを分かりやすく表していた。それは「MONSTER IDOL」で見せた悔しさによる涙ではない。自信に満ちた達成感からの涙だ。

 結成1周年記念日である12月19日には1st写真集(タイトル未定)が、来年1月20日にはメジャー1stアルバム『まめジャー!』が発売となる。それに先駆け、スタートするのが全国6都市18公演の全国ツアー『実力をしっかりとつけるツアー』。11月に始まり、ツアーファイナルはアルバム発売直前の1月10日。ひた走るグループの勢いに振り落とされないように、メンバーが実力をしっかりとつけアルバム発売に臨むということを意味する。

 1部、2部ともにアンコールのラストは「大丈夫サンライズ」。何回でも立ち上がり、つらいことばかりではないと自身を鼓舞する、豆柴のアンセムだ。力強くサムズアップを掲げ、新たな目標へとスタートを切る5人が、より一段と頼もしく見えた。

■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter

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