川崎鷹也「魔法の絨毯」リリースから2年経ってバイラルTOP10に カバーによって再発見された“サブスク時代のヒット曲”
また、SNSによる口コミの拡散効果も忘れてはいけない。いくら音楽サブスクリプションサービスで楽曲が配信されていたとしても、人々に気づかれなくては意味がない。知名度の乏しいアーティストの過去の楽曲をなんのきっかけもなく聴き始めるリスナーはまれな存在だろう。「魔法の絨毯」の場合、YouTubeやTikTokといった動画系SNSが火付け役となったように見受けられる。さまざまなYouTuberや歌い手が「魔法の絨毯」のカバーを投稿しており、その数は増え続けているのだ。カバーされた「魔法の絨毯」を聴いたリスナーが楽曲の素晴らしさに突き動かされ、原曲に立ち戻り、川崎鷹也の「魔法の絨毯」にたどり着いたのではなかろうか。一度火がついてしまえば驚異的な速度で拡大するのがSNSの特徴。すでに原曲である川崎鷹也の「魔法の絨毯」はSpotifyだけでなくYouTubeやTikTokでも再生数を伸ばしており、まだまだその勢いは衰える様子がない。
ヒット曲は時の流れに淘汰され、耐え忍ぶことができた一握りの楽曲だけが「名曲」となる。川崎鷹也の「魔法の絨毯」は現代の音楽市場を取り巻く構造が見つけ出した「忘れられかけた名曲」なのではないだろうか。
■Z11
1990年生まれ、東京/清澄白河在住の音楽ライター。
一般企業に勤務しながら執筆活動中。音楽だけにとどまらず映画、書籍、アートなどカルチャー全般についてTwitterで発信。ブリの照り焼きを作らせたら右に出る者はいない。
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