平手友梨奈、楽曲の世界を生きる主人公としてのパフォーマンス 森山直太朗との共演を前にソロ活動を振り返る
2020年1月、平手は欅坂46を脱退。ある種「到達した」ようにも見えた平手がこのあとどこに行くのか、そんな不安もあったが、今年3月に平手のオフィシャルサイトで公開された新ビジュアルを見て、その想いが消えていくような気がした。シックな衣装にフラットなまなざしでこちらを見つめる平手の目からは、「黒い羊」の時ににじみ出ていたほの暗さが抜けているように感じたからだ。「集団」の中での在り方を問われ続けた平手が、ただの平手友梨奈となり、一度まっさらになった。そんな印象だった。
8月26日、『2030 FNS歌謡祭 夏』で平手は、森山直太朗とコラボする予定となっている。楽曲は「生きてることが辛いなら」。歌詞に〈生きてることが辛いなら いっそ小さく死ねばいい〉という詞が入っていることから、発表当初「自死を助長する」との批判もあった楽曲だ。だが、最後まで聴けば〈生きてることが辛いなら くたばる喜びとっておけ〉と締めくくられる曲の本来の意図が、自死などとは真逆であることがわかるだろう。
余計なものをそぎ落とし、削りだしたようなこの曲は、研ぎ澄まされた平手のパフォーマンスに間違いなく合うだろう。そう予想できても、きっと番組当日、私たちは平手友梨奈に釘付けになるはずだ。
■満島エリオ
ライター。 音楽を中心に漫画、アニメ、小説等のエンタメ系記事を執筆。rockinon.comなどに寄稿。
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