ずっと真夜中でいいのに。、YOASOBI、ヨルシカーー三者三様のアニメMVに見る、新たなクリエイティブの潮流

 「曲に合わせて作られたアニメーション動画」自体は過去にも存在する。それらは、以前ならばPV(プロモーションビデオ)と呼ばれ、文字通り曲をプロモーションするための付属品のような扱いだった。だが、映像自体の作品性が高まっていくことで、現在ではMV(ミュージックビデオ)と呼ばれるのが主流だ。動画師の動画も同じように、Wabokuらトップクリエイターの活躍により、作品性の高さを認知されるようになったものだ。

 「1枚の絵ではなく、3〜4枚の連作ならばもっと言いたいことが伝えらえるのに」と感じたところから動画制作をはじめたというぽぷりかは、ニコニコ動画に初投稿したMVがバズったことで制作依頼がくるようになったという。Waboku、南條の2人も、SNSに投稿した自作の動画や画像が、依頼が舞い込むきっかけとなっている。また、ヨルシカやYOASOBIはコンポーザーとボーカルが組んだユニットであり、「秒針を噛む」は、ずっと真夜中でいいのに。のフロントマン・ACAねとボカロクリエイター・ぬゆりとの共作だ。

 企業や事務所などを介さなくても、クリエイター同士で直に手を組むことが可能な時代。ひとつの曲がハブとなり、音楽、映像などそれぞれの領域のクリエイターが才能を発揮することでより高い相乗効果が生まれ、驚異的な動画再生数に繋がっていくのだろう。

 『マツコ会議』の番組中、Wabokuは「MVだけを作って終わる作家として生きていきたいわけじゃない。次の自分に繋がる作品を受けて作り続けていく」とコメントした。今後ハブの役割は映像、そしてそれ以外のジャンルにも広がり、より大きな波を起こしていくのかもしれない。

■満島エリオ
ライター。 音楽を中心に漫画、アニメ、小説等のエンタメ系記事を執筆。rockinon.comなどに寄稿。
Twitter(@erio0129

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