嵐 櫻井翔、『家族ゲーム』吉本荒野役でも見せるアイドルならではの対応力 再放送を機に“言葉”を操る演技を考察

「言葉」を巧みに操る櫻井ならではの演技

 『家族ゲーム』では、櫻井のたたみかけるような台詞回しも印象的だ。声色の使い分けにも工夫を感じる。ラップを強みとし、キャスターやMCとして「言葉」を巧みに操る櫻井ならではの演技だ。

 吉本を、感情を伴わない平坦なトーンと大量の言語情報で圧倒させるキャラクターとして作り込むことにより、いざ表情、感情、声色が合致したときの爆発力がすさまじい。

 10代から現在に至るまで、助演・主演問わず数々の映像作品に出演してきた櫻井。他作品で見せる演技では、しっかりと体温も感じられるし、台詞の抑揚からきちんと感情が伝わる。つまり、これほど奇怪なキャラクターを計算して演じ、作り上げているということだ。頭脳派ならではの緻密な役づくりに脱帽し、「役」に対する櫻井の真摯な姿勢が、表現を通して伝わる。想像を体現してみせるエンタメ性と対応力は、さすがアイドルだ。

主題歌の嵐「Endless Game」にも注目

 主題歌は嵐の「Endless Game」。壮大でドラマチックなイントロ、迫りくるようなスリリングなサビが、視聴者をドラマの世界へとぐっと引き込む。

〈くだらないことばかりさ でも信じていたいよ〉

 現実を嘆きながら、希望を見つけようともがく歌詞。本作が投げかけるテーマ、そして吉本の想いがマッチし、胸に刺さる。

 Aメロ、Bメロ、サビ、そしてDメロと、異なる顔を見せながら展開していく複雑なサウンドに面白味がある。まさに“ゲーム”を感じる良曲だ。

 期待の再放送では、吉本の「得体の知れなさ」をぜひ、怖がってほしい。そして、本作を観たあと心に残る感情を、たとえそれが恐怖や嫌悪感であったとしても、どうか大切に覚えていてくれたらと願う。それこそが、作品からの、吉本からのメッセージであるはずだから。

■新 亜希子
アラサー&未経験でライターに転身した元医療従事者。音楽・映画メディアを中心に、インタビュー記事・コラムを執筆。
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