嵐、SixTONES、Sexy Zone……『Mステ』3時間半SP出演ジャニーズ、最新シングル曲を分析

 7月24日に放送される『ミュージックステーション 3時間半SP』(テレビ朝日系)。オンエア当日を前に、10組以上の登場アーティストと歌唱楽曲が発表されたが、そのうちジャニーズからは、嵐、SixTONES、Sexy Zoneの3組が出演する。そこで本稿では、オンエアでも披露予定である彼らの最新シングル曲について、予習の意味を込めて解説したい。

嵐「カイト」

 嵐は、7月29日に58枚目となるシングル『カイト』を発売。表題曲は、米津玄師が作詞作曲を手掛けたもの。2019年末に放送された『NHK紅白歌合戦』(NHK総合)にて、“NHK2020ソング”として新国立競技場のステージから初披露され、大きな反響を呼んでいた楽曲だ。

NHK2020ソング 「カイト」 スペシャルムービー

 そんな「カイト」のテーマとなっているのは、そのタイトル通り“凧”。子供の頃に空に揚げた大きな凧に自身の夢や希望を託すなど、これからの時代を担う若者にエールを贈る楽曲となっている。米津らしい一抹の哀愁を感じるサビのメロディ運びや、壮大なオーケストラをバックにした、嵐5人の歌唱力や結束を試されるごまかしの効かないストレートな曲調など、語りどころは尽きないばかりである。

 その上で歌詞に注目すると、同楽曲が『東京2020オリンピック』に寄せられたものであることや、嵐や米津に付随する“国民的アーティスト”の立ち位置を踏まえれば、〈父は言った「逃げていい」と〉と歌った一節などに、不意を突かれた人もいるのではないだろうか。こういった大舞台では、とにかく情熱的な応援歌が歌われがちだが、米津の人の弱い部分に寄り添う歌詞を味わって、人によってその程度は違えど、心を救われた人がどこかに必ずいるはずである。

 また、「カイト」の歌詞に込められたメッセージも、20年以上の時間をかけて嵐が培ってきた、揺るぎない説得力があって初めて本当の意味をなすものだろう。サウンドやアレンジの妙はもちろんだが、まずは歌詞に意識を向けてほしい。

SixTONES「NAVIGATOR」

 SixTONESは、7月22日に2枚目となるシングル『NAVIGATOR』を発売。表題曲は、TVアニメ『富豪刑事 Balance:UNLIMITED』(フジテレビ系)オープニングテーマに起用されている。また、同アニメの放送初回で楽曲こそ流れたものの、彼らのクレジット表示が一切なかっただけに、ファンによるSNSでの“予想合戦”を巻き起こしていたエピソードも。

SixTONES - NAVIGATOR (Music Video) [YouTube Ver.]

 そんな「NAVIGATOR」は、ヘビーなロックにストリングスや重めのキックを重ねた、限りなくアグレッシブなダンスチューン。先の展開が予測できないトラックに対して、高音を担当する京本大我を筆頭に、メンバーの2オクターブで並走するコーラスが重なるなど、彼らのデビュー以来のスキルアップを存分に実感できるだろう。全員が奏でる流暢な英語詞も、この楽曲にある焦燥感を駆り立てるポイントだ。

 また、田中樹が曲中に挟むタイトなラップも聴きどころのひとつ。彼らのようなグループにとって、曲中にラップパートを挿入するのは定番の形式といえるが、田中のラップには“哲学”がある。そのフロウは、SKY-HIにも似た発音や、語尾を気怠げに流すトレンドなテイストを織り交ぜたりと、“お遊びのラップ”でないことが如実に伝わってくるのだ。彼の存在もまた、この楽曲のプログレッシブさにプラスアルファな要素を付け加えてくれる。

 本題からはやや外れるが、今回のシングル収録曲「love u…」の初解禁時、「Cho Wavy De Gomenne」などを代表曲に持つラッパー・JP THE WAVYの楽曲「Just A Lil Bit (Feat. Sik-K)」と似たメロウな雰囲気があると、ファンの間では話題となっていた。これから紹介するSexy Zoneも、iriやtofubeatsといったヒップホップ、またはそれに近い音楽をルーツに持つ新世代アーティストからも楽曲提供を受けているだけに、いつかはSixTONESでもそういった様々な才能の交差する作品を体験してみたいものだ。

関連記事