小野賢章、長いキャリアで培った唯一無二の歌声 ロックナンバーからラップまで自在の表現スキルに注目
そして、7月9日より配信が開始されたNetflixオリジナルアニメシリーズ『日本沈没2020』。小松左京の小説『日本沈没』を下敷きに、地震で沈みゆく日本と、そこでサバイブする人々を描いたこの作品で、小野は物語を動かすキーマン、カイトの声を務めている。絶望に満ちたとあるシーンで、カイトは仲間を鼓舞するためラップを披露する。自信家で常にみんなを引っ張ってきたカイトらしさが、どん底でも強気なフロウで表されたシーンだ。
キャラクターや曲調に合わせて自在にカラーを変えていく小野の器用さは、長年役者としての経験を積んできた賜物だろう。それでいてその歌声は、どの曲を聴いても埋もれることはない唯一無二の魅力を放つ。声優がただ演じるだけでなく、歌、踊り、トークなど、様々なスキルを求められる時代。経験を活かし、あらゆるシーンで結果を出し続けてきた小野賢章が、今後音楽シーンでもさらに存在感を出していってくれることに期待したい。
■満島エリオ
ライター。 音楽を中心に漫画、アニメ、小説等のエンタメ系記事を執筆。rockinon.comなどに寄稿。
Twitter(@erio0129)