高橋美穂の「ライブシーン狙い撃ち」第16回

Suchmos、SUPER BEAVER、ROTTENGRAFFTY……ライブハウス拠点にするバンドの大舞台収めた映像作品

 最後に紹介するのは、“6月10日=ロットンの日”にリリースされる、ROTTENGRAFFTYの『ROTTENGRAFFTY LIVE in 東寺』。結成20周年を迎えた昨年、いつにも増して精力的に活動していた彼らが12月14日に行った、地元・京都の世界遺産・東寺で行ったワンマンライブ『20th Anniversary Beginnings of the Story EXTRA in 東寺』の模様が収められている。まず、五重塔がそびえ立つ荘厳なロケーションは圧巻! さらに、その中に響き渡る、「金色グラフティー」のシンガロングが、オープニングからハイライトと言えるような、美しい場面を作りだしている。彼らが20年かけて築き上げてきた、“地元愛”と“オーディエンスとの絆”が交わり、世界遺産にも負けない輝きを放っていた。その後も、有無を言わさぬ爆音と、白熱のパフォーマンスが続く。世界遺産に対する、彼ら流の敬意だったのかもしれない。いつもとは違った場所でも、頑なな芯を見せつけたことが伝わってきた。

ROTTENGRAFFTY「響く都 (LIVE in 東寺 2019/12/14)」

 なお、Disc2には『20th Anniversary Beginnings of the Story~We are ROTTENGRAFFTY~』のファイナルとなった、昨年11月15日のZepp DiverCity公演の模様が、完全生産限定盤のDisc3には、昨年の“逆ロットンの日=10月6日”に京都KBSホールで行われたライブの模様が収録されている。今もなお攻め続ける姿勢、オーディエンスや対バンとの密な関係性、そして「出し尽くせよ!」という言葉に説得力がある汗だくの5人……一瞬にして気持ちをライブハウスに連れていってくれる、魔法の入口がちりばめられた映像作品だ。

ROTTENGRAFFTY「ハレルヤ (LIVE at Zepp DiverCity 2019/11/15)」

 バンドにはドラマがあり、それを私たちの耳や目だけではなく、体や心を通して伝えてきたのはライブである。そう、改めて思える3作品。紆余曲折を経たバンドたちの晴れ舞台からは、どんな時もあきらめない強さやしなやかさを受け取ることができるはずだ。

■高橋美穂
仙台市出身のライター。㈱ロッキング・オンにて、ロッキング・オン・ジャパンやロック・イン・ジャパン・フェスティバルに携わった後、独立。音楽誌、音楽サイトを中心に、ライヴハウス育ちのアンテナを生かしてバンドを追い掛け続けている。一児の母。

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