w-inds. 緒方龍一、音楽への愛情とバランサーとして果たしてきた役割 グループ脱退に寄せて

 取材場所で7インチのレコードを見せながら「これ、いま買ってきたんですよ。聴きます?」と話しかけてくれたり(70年代のオーセンティックレゲエだった)、撮影が終わった後、スタジオの前にいたファンと、まるで友達のように会話したり、龍一にまつわる思い出は楽しく、朗らかなものばかり。龍一は「いつ、どのような形になるのかはお約束できませんが、またいつか元気な姿でみなさんにお会いできますよう、自分らしく精進していきたいと思います」とコメントしているし、筆者もその日を待ち望んでいるが、(繰り返しになるが)今はできるだけゆっくり休養し、適切な治療を受けてほしい。

 最後に一つだけ。昨年の3月に音楽プロデューサーの亀田誠治氏にインタビューした際、今後の音楽業界の課題として「よくアーティストやマネージメントの方にも言うのですが、「頑張らないといけない時期はある。だけど、心と体を壊してはいけない」と。今のアーティストは本当に苛酷ですからね。心身のケアは今後、さらに重要になってくると思います」と語っていた(参照:ORICON NEWS)。才能のあるアーティストが長く活動を続けるために、業界全体でメンタルケアの必要性を再認識するべきだと強く思う。

■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。

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