×ジャパリ団、HR/HMファンも魅了する会心の一撃 デビューアルバム『×・×・×』への期待

×ジャパリ団、HR/HM層も魅了する音楽性

 ×ジャパリ団(ばってんじゃぱりだん)の動向が、ゲーム/アニメファンのみならず音楽ファンにとっても非常に面白いことになっている。

 ×ジャパリ団というユニット名を知らなくても、2017年に放送され大ヒットしたテレビアニメ『けものフレンズ』の主題歌「ようこそジャパリパークへ」のことは知っているという音楽リスナーも少なくないだろう。大石昌良が作詞・作曲・編曲を担当し、アニメに登場するキャラクターたちによるユニット「どうぶつビスケッツ×PPP」が歌うこの曲は、二度にわたる『ミュージックステーション』出演効果もあり、同年発表されたアニソンの中でも突出した盛り上がりを見せた。

 以降もさまざまな形でメディアミックス展開され続ける『けものフレンズ』からは、数々の良質な楽曲が発表されており、その完成度の高いキャッチーな楽曲群に筆者も毎回驚かされ続けている。そんな中で登場した×ジャパリ団の楽曲は、特にハードロック/ヘヴィメタル(以下、HR/HM)を愛聴する筆者にとって驚きを通り越し、思わず笑顔でガッツポーズしてしまうほどの会心の一撃だったのだ。

 ここで改めて、×ジャパリ団というユニットについて軽く説明しておく。このユニットはセガのスマホアプリ&アーケードゲームで展開中の『けものフレンズ3』プロジェクトから生まれた、未来みき(ブラックバック役)、小泉萌香(タスマニアデビル役)、船戸ゆり絵(オーストラリアデビル役)の3人からなる声優ユニット。昨年7月27日に開催されたイベント『けものフレンズPARTY』で初のオリジナル曲「ジャパリ狂詩曲〜×ジャパリ団のテーマ〜」を初披露し、11月9日開催の『けものフレンズ3 LIVE』ではさらなるオリジナル曲「×レゾンデートル」を歌唱したという。「という」と書いたのは、この時点で筆者は彼女たちのことを認識できていなかったからだ。今思えば、非常に勿体ないことをしたものだと反省している。

 さて、先に書いたようになぜ×ジャパリ団が「アニメ/ゲームファンのみならず音楽ファンにとっても非常に面白いことに」なっており、かつ「HR/HMを愛聴する筆者にとって驚きを通り越し、思わず笑顔でガッツポーズしてしまうほどの会心の一撃」だったのかについて述べていきたい。

 まずは、今年3月に先行配信された「ジャパリ狂詩曲〜×ジャパリ団のテーマ〜」を聴いていただきたい。この曲は冒頭のセリフこそコミカルさが伝わってくるものの、サウンドやメロディそのものは王道かつクラシカルなHR/HMだ。要所要所にフィーチャーされるテクニカルなギタープレイや手数の多いドラミングは正真正銘メタルの一言。

 それもそのはず、この曲の作曲・アレンジおよびギターを担当したのが2000年代以降のジャパニーズメタルシーンを牽引するバンド・GALNERYUSのSYU(Gt)その人なのだから。ギターとキーボードの絡みや各楽器のユニゾンプレイなど、GALNERYUSファンなら思わずニヤリとしてしまうポイントが随所に用意されているほか、小野正利(Vo)が歌えばそのままGALNERYUSの楽曲として成立してしまいそうなメロディラインなど、とにかく聴きどころの多い1曲に仕上がっている。

 そういった王道のメタルサウンドに乗るメンバー3人の歌唱も、イントロ&エンディングに挿入されるセリフのコミカルさに反して非常に堂々としたものがあり、可愛らしさと力強さ、まっすぐさとが相まって過去の『けものフレンズ』関連楽曲同様の中毒性を感じずにはいられない。

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