日向坂46、『DASADA』は“19人”で臨んだ珠玉の青春ドラマに 小坂菜緒、渡邉美穂、佐々木久美らの活躍を振り返る
日向坂46のメンバーが総出演する連続ドラマ『DASADA』(日本テレビ系)が、ついに最終回を迎えた。2019年2月にけやき坂46から日向坂46へと改名したグループにとって初のテレビドラマとなる本作。このドラマは「私たちの青春は、夢であふれている。」というメインビジュアルのキャッチコピーにあるように、平凡な日々を過ごしていた私立マロニエ女学院の生徒たちがある日、クラスでも“ダサい”と評判の少女を中心にファッションブランド『DASADA』を立ち上げることに奮闘する姿を描いた学園青春群像劇だ。
主演を務めたのはデビューシングルから4作連続でセンターを務め、すっかり“日向坂46の
顔”として定着しつつある小坂菜緒。今作で小坂が演じた佐田ゆりあは、「私って可愛いじゃないですか?」が口癖の天然キャラで、とにかく流行を追いかける性格だ。発するセリフなどどこかダサい雰囲気があるせいで、周囲からなんとなく下にみられている一面がある。一見世間に流されるお馬鹿さんにみえるが、明るく誰に対してもフラットな目線を持っており、そんな彼女に周囲の人たちは惹かれ、変えられていく。
「人見知り」を公言し、日頃バラエティ番組などで見せる姿もどこか落ち着いた印象のある小坂は、この正反対とも言える性格の役を見事演じきってみせた。『Seventeen』の専属モデルでありながら、振り切った演技で役柄に徹し、どこか“ダサい雰囲気”の印象をしっかり視聴者に与えていたように思う。これこそがこのドラマのスパイスとして、十分に機能していた。日向坂46のライブでは、センターとして感情豊かなパフォーマンスで“おひさま”の心を揺さぶり、2019年11月15日に公開された主演映画『恐怖人形』ではシリアスな役に挑んだ。そして今年6月19日に公開される田中圭主演作『ヒノマルソウル~舞台裏の英雄たち~』の出演も控えている。そんな小坂は日向坂46の前身グループ・けやき坂46の2期生として2017年8月から芸能活動を始めた。約2年7カ月という少ないキャリアでありながら、駆け足で女優としても飛躍を続けている。センターとしてのプレッシャーと戦う中で表現力を身につけ、女優としても演技力を磨いてきた小坂は、これから作品を積み重ねていく中で、どんな役にも変幻自在になりきる“カメレオン女優”としても活躍するかもしれない。
このドラマを語る上では、群れたり目立ったりすることはない一匹狼なキャラクター・篠原沙織役を演じた渡邉美穂の存在も欠かせないだろう。常に自分のスタイルを持ち続け“本物”にこだわりながら、デザイナーとして『DASADA』のブランド化を目指した篠原。何と言っても第5話で見せた、佐々木美玲演じる岡田いちごを怒りに身を任せ蹴り飛ばすシーンは迫力満点だったと思う。そんな渡邉といえばメンバー唯一のソロ写真集『陽だまり』を発売したり、けやき坂46が20人体制になって初めての楽曲「NO WAR in the future」でもセンターを務めた齊藤京子と共に曲のラストでグループの中央に立ちポーズを決めるなど、何事も先陣に立ち2期生を牽引してきた。今回、面白かったのは、小坂と渡邉のキャラクターがリアルな世界と入れ替わったところだと思う。「人見知り」の小坂が行動力のある活発な佐田を演じ、「元気印」の渡邉が一人でいることをなんとも思わない性格の篠原を演じた。そんな2人が、時にユーモラスな掛け合いをしながら『DASADA』というブランドを有名にするためドラマの中で奔走した。お互いの性格は異なるとは言え、その姿はどこか躍進を続ける日向坂46の姿そのものを思わせてくれた。