SPICY CHOCOLATEが語る、“人生に寄り添う応援歌”で届ける思い「どんなに技術が発展しても人とのふれあいはなくならない」

SPICY CHOCOLATEが語る、“人生に寄り添う応援歌”

ファンキー加藤、まるりとりゅうが……第六感を信じたコラボ選び

――「夢のカケラ feat. ファンキー加藤 & ベリーグッドマン」も、今作を代表する応援歌の一つですね。

KATSUYUKI:「夢のカケラ」の根底にあるテーマは、セカンドチャンスです。負けた経験があるから勝ちが得られるし、どんな成功者でも失敗のない人生や間違いのない人生は絶対にないと思っていて。誰もが一度は失敗するし、誰もが間違えることがある。その上で、ちょっとした成功やちょっとした目標の達成にたどり着けるんです。だからたとえ失敗しても、そんなにくよくよしなくても大丈夫だよっていうことをテーマにしたくて。僕自身も今に至るまでにはたくさん失敗を経験したからこそ、どうやったら勝てるかを必死に考えて来たわけだし。そんな自分の経験も踏まえた上で、聴いてくださるみなさん全員にセカンドチャンスがあるんだということを、意識してもらえたら良いなと思います。

――SPICY CHOCOLATEにも、挫折があったんですか?

KATSUYUKI:もちろんありました。SPICY CHOCOLATEは今年で26年、メジャーデビューして13年経ちますけど、長い間なかなかヒットが出なくて、それでもバッターボックスに立ち続けたことで、2013年にようやく「ずっと feat. HAN-KUN & TEE」というホームランが打てたんです。それ以降も含めてこれまでの間にいろんな人を見て来ましたけど、どんなに才能があって努力していても、ホームランが打てない人はたくさんいて。じゃあそこでホームランを打つためには、リスナーをノックアウトするためにはどうしたら良いか、そのことをすごく考えるようになりました。

――考えた結果、その答えというのは見つかったわけですか?

KATSUYUKI:自分よがりではダメということに行き着きました。あと、求めているばかりではなく、感謝の気持ちもちゃんと持っていないとダメです。そのことを歌っているのが、「めぐみ feat. SHOCK EYE & APOLLO」です。当たり前のようにあるけど、決して当たり前じゃない“恵み”に感謝できるかどうか。以前は神社にお参りに行っても「ヒットしますように」とか「1位を獲れますように」とお願いをしていたのですが、今は音楽活動を続けられていることに感謝して、「ありがとうございます」という気持ちで手を合わせることができます。日頃の行いって絶対にあると思うし、それによって自分の人生が変わっていくんじゃないかなって。26年やって、ようやくそういうことに気づけるようになりました。

SPICY CHOCOLATE 「めぐみ feat. SHOCK EYE & APOLLO」 Music Video Short ver.

――長く続けて来たからこその実感ですね。バッターボックスに立ち続ける上での、秘訣や心構えのようなものはありますか?

KATSUYUKI:一つ一つの打席を大切にすること。それは僕らで言えば1曲1曲になるわけですが、SPICY CHOCOLATEを応援してくれる人を良い意味で裏切りながら、同時に満足してもらえる曲を意識し続けることです。そういった意識を揺るぎないものとして持ち続けながら、その時代にフィットしたものにする。たとえば10年あったとしたら、その間で人はいろんなものを吸収して考え方や思想も変わります。10年前からSPICY CHOCOLATEを聴いてくれている人も、同じように成長して考え方が変わって来ている。だから10年前と同じことを歌っていてはダメで、じゃあ今の時代に合ったものは何なのかを、常に考えながらバッターボックスに立っています。僕より若い人にも聴いてほしいし、僕より先輩の人や同年代の人にも聴いてもらいたい。幅広く聴いてもらえるように、特に今作は工夫を凝らしました。

――常に人と一緒に作ることの温かさみたいなものも、その答えの一つでしょうね。

KATSUYUKI:そうですね。僕は歌えないので、だからこそそのアーティストの良さをどれだけ引き出すことができるかを考えます。ベリーグッドマン単体ではできないこと、ファンキー加藤さん一人ではできないことを、SPICY CHOCOLATEが間に入ることによって実現する。普段はやらないけどこういう機会なら挑戦してもいいという理由と場所をSPICY CHOCOLATEが提供して、お互いの才能とアイデアをフルに発揮してもらい、それが作品に反映できれば良いなと思っています。

SPICY CHOCOLATE「夢のカケラ feat. ファンキー加藤 & ベリーグッドマン」Music Video Short ver.

――「願いのせて feat. まるりとりゅうが & モン吉」も、メッセージ性の強い応援歌ですね。〈もう君は独りじゃないから〉というフレーズは10代や20代の若い世代に刺さりそうです。そういう曲にまるりとりゅうがが参加することでメッセージの説得力が出ていると思いました。

KATSUYUKI:まるりとりゅうがは2人ともすごく歌が上手で、こちらから熱望して参加していただきました。彼らのことは動画を見て気になっていて。実際にライブも見に行かせてもらって、ぜひにとお声がけさせていただきました。今作への参加アーティストの世代は、20代、30代、40代が入り交じっていて。聴いてくれる人の年齢層を幅広くしたいというのが根底にあったので、若くて才能が溢れる人と一緒に曲を作りたいと思っていたんです。僕らは常にアンテナを張ってSNSやネットもチェックしてるんですけど、膨大な情報の中から第六感を信じてビビッと感じるものがあった人について掘り下げていくようにしています。

――2人は、初めて会った時はどんな反応でしたか?

KATSUYUKI:やっぱり緊張していましたね。僕も緊張していたし。でも緊張することは大事で、ほどよい緊張が自分の成長に繋がると思っています。僕も、まるりとりゅうがの曲をたくさん聴いてイメージを膨らませてレコーディングに臨みました。

――「夢のカケラ」に参加した、ファンキー加藤さんとベリーグッドマンさんは、どういうきっかけだったのでしょうか?

KATSUYUKI:ベリーグッドマンは同じレゲエシーンのアーティストで昔から交流があったので、先に声をかけさせていただいて。そこにもう一人誰が良いかと考えている時に、同じ事務所のファンキー加藤さんのライブを改めて見て、「これだ!」と閃いたんです。加藤さんの力強さとベリーグッドマンの絶妙なハーモニーを合体させて、そこにSPICY CHOCOLATEのテイストを足したら、新しいものができるんじゃないかと。これが正解でしたね。

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