5thシングル『ムズイ』インタビュー
22/7 帆風千春&西條和&海乃るりが語る、念願のアニメ化やメンバー卒業を通して再発見したグループの強み
「ジュンちゃんの何の嫌味もないあの言葉に私自身も救われた」(西條)
ーーアニメが始まったことで、メンバーそれぞれの個性や関係性も具体的に見えてきました。あらためて、それぞれが担当するキャラクターについて教えて下さい。
帆風:私が演じる佐藤麗華ちゃんは、「清く正しく生きる優等生」という言葉が本当にピッタリ合う女の子。ライブの最中に機材トラブルで音が止まってしまってメンバーが慌てているところで、すぐに「みんな、落ち着いて」と声をかけたり(第3話)、周りを見る力がある子なのかなというところも見えてきました。でもたまにポンコツな部分が見えてしまうのが、可愛らしいところですね。第5話、河野都ちゃんがメインになる回では具体的に麗華ちゃんのポンコツが描かれているので、そんなギャップも楽しんでもらえるキャラクターだと思います。
海乃:私の演じる戸田ジュンちゃんは、何事も楽しむ性格ですね。第1話で初めて登場するシーンでは、動物園のゴリラの檻の前で「ゴリラに食べられちゃう」ってとても怖がってはいるんですけど、でも状況を最大限楽しんでいるようにも見えますし。精一杯、生きているなって思います。あと、発想も味覚もすごく子どもっぽいですよね。何事も全力で楽しんでいるのも、子どもっぽいところなのかも。
西條:滝川みうちゃんは、基本的には引っ込み思案で周りを怖がっているところがあるんですけど、ここぞという時の行動力がある子だと思います。そういう行動力が自分にはないので、すごく格好いいなって思いながらやっています。
ーー物語のなかで実際にキャラクターが動き出すことで以前とは印象が変わったり、あるいは皆さんがリアルメンバーとして活動するうえで影響されたりするのでしょうか?
西條:自分にはセンターなんか無理だと思ってみうちゃんが練習に行けなくなったところにメンバーみんなが来てくれた場面(第2話)、ジュンちゃんが「一番前なんて楽しそうじゃん!」って言ってくれたのが、個人的にすごい心が楽になったというか。実際に私も22/7の活動の中で「ここにいていいのかな」って思う時があるですけど、ジュンちゃんの何の嫌味もないあの言葉に、私自身も救われたなって思います。そういう言葉を嫌味なく言える人ってなかなかいないと思うので。
海乃:ジュンちゃんには、「人生は遊園地。来てしまったら楽しまなければ損だ」という座右の銘があるんですけど、私もつまずいたことなどがあると本当にすごく助けてもらいますね、その言葉に。
ーー帆風さん演じる佐藤麗華は、帆風さんと同じくグループのリーダーでもあります。
帆風:麗華ちゃんはリーダーもやっているし優等生と呼ばれているから、何でも完璧にこしちゃうのかなと初めは思っていたんですけど、実はリーダーとしての自分と一人の女の子としての自分が葛藤している姿が描かれていて。麗華ちゃんにも、どうしても譲れないものや乗り越えられないと感じる壁がある。そんな麗華ちゃんの姿を見ると親近感を覚えますし、そこに向き合って殻を破っていく麗華ちゃんを見ると、自分もちゃんと向き合わなきゃいけないなって思えるきっかけにはなりますね。
ーーアニメ『22/7』は、リアルメンバーとしての皆さんの活動とリンクするところもあり、グループのここまでの歩みをもう一度なぞっていくような瞬間もありますよね。
西條:それこそ自分が過去に言った言葉が、そのまま台詞になっていたこともありましたね。それから、第1話でまだ22/7に入る前のみうちゃんが携帯を見ながら泣いているシーンがありますよね。私も22/7に入る前、どうやって生きていったらいいかわからなくなっていた時があって。そういうことを思い出しながら声を録っていたら、終わったあとに「本当に苦しそうだったね」って声をかけられました。
海乃:戸田ジュンちゃんがメインになる第7話では、ジュンちゃんが泣くシーンもあるんですけど、初めは感情移入できるかなと不安だったんです。でも、やってみたら号泣(笑)。台詞を録らなくちゃいけないから、涙も流したまま声には出さないようにしてこらえてたんですけど、カットがかかった瞬間、「うわー!」って泣いてしまいました。そうやって感情移入することで、この子はこんな気持ちを抱えているんだな、でも今頑張ってるんだなと、ジュンちゃんを深く知ることができましたね。
帆風:お披露目ライブに向けて、ゼーハー言いながらレッスンしているシーンを見ると、そういえば私たちも初めて振付していただいて踊ったときは、一曲だけで精一杯だったなということも思い出しました。一生懸命に一つの楽曲に向かう姿勢も懐かしくて、今だってもっと一生懸命になれるはずだなと思います。
「殻を破れたらいいなっていう気持ちを込めて歌ってる」(帆風)
ーー各メンバーのキャラクターソングも誕生し、アニメでもエンディングテーマとして流れています。
海乃:私はキャラソンを聴いて声優さんになりたいと思ったくらい、キャラソンが大好きなんです。なので、キャラクターソングを歌うのがずっと夢だったんですよ。その夢が叶って本当に嬉しいです。
ーー海乃さん演じる戸田ジュンのキャラクターソング「人生はワルツ」という曲は、どのように捉えていますか?
海乃:ジュンちゃんの生き方そのものだなって思います。彼女の座右の銘が盛り込まれていて、決して暗くならずに前向きに歌っているのも、とても彼女らしいですし。アニメの内容ともつながっているし、ジュンちゃんの座右の銘も生き方も明るさも全部反映されていて、この曲をいただけて本当にありがたいです。
西條:私は逆に、メンバーのみんなが「いつかキャラソン歌えたらいいね」と言っているのをほや~っと聞きながら、(なんだろう、それ)って思っていたくらい、初めはキャラソンのことをよく知らなくて……。なので、まさかそれを自分がやることになるとは思っていなかったです。
ーー西條さん演じる滝川みうの「One of them」は第3話、メンバーのキャラソンとしては最初に登場します。
西條:エンディングテーマで流れたんだって思うと、今もちょっと恥ずかしいんですけど(笑)。でも、どのキャラクターもそうなんですけど、みうちゃんというキャラに沿った歌詞を書いてくださっていて。みうちゃんの家と同じように「団地」というキーワードも出てきますし、内容も本当に22/7に入る前のみうちゃんだなという感じがしますね。
ーー佐藤麗華のキャラソンは、優等生キャラを逆手に取るような曲「優等生じゃつまらない」です。
帆風:「えっ、あんなにずっと優等生って言ってたのに」と思って(笑)、驚きました。麗華ちゃんのお当番回になる第6話では、リーダーに指名された麗華ちゃんが目の前の問題に直面します。さっきも少し言いましたが、リーダーとしてはこうあるべき、でも佐藤麗華という一人の女の子としてはそうしたくない、という葛藤が描かれている。その回のエンディングテーマになるこの楽曲にも殻を破りたい、この枠を飛び越えたいという気持ちが感じられて。私自身の中にも同じように、なかなか一歩を踏み出せない部分があるので。
ーーその踏み出せなさはどのようなところで感じているものですか?
帆風:声優の現場で役をいただいて演じるときなどに、ただその役をやるだけじゃなくて何かプラスアルファが要る。それは私だけじゃなく、みんながいろいろな場で言われてると思うんですけど。なかなかそのプラスアルファに至るまでの発想力や実力が追いつかないのが、自分の中でもすごくもどかしくてもやもやしてて。それは現場に出させていただいているからこそぶつかる問題なんですけどね。物語の中でもキャラソンの中でも、麗華ちゃんが力強く変わろうとしているのを見て、そこに追いつきたいな、殻を破れたらいいなっていう気持ちを込めながら歌っています。